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子供のお口ポカンの癖はどうやって直したらいいの?

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

子供が口呼吸でお口ポカンになっている場合、口呼吸の癖はどのようにして治せば良いのでしょうか?舌の正しい使い方や、顎や歯に影響がある癖についてもご説明します。

お口ポカンの癖は直しましょう

口を閉じると周辺の筋肉に力が入り、前歯を適切な力で押すことで、前歯は正しい角度を保つことが出来ます。ところが子供がお口ポカンになり口がいつも開いてしまっていると、前歯が前方に傾いて出っ歯になる傾向があります。

いつも口を開いていることで、口の周辺の筋肉の力が弱くなり、ますます口を開いたままの状態になります。鼻が悪いために口呼吸になっている場合もあります。

口呼吸によるお口ポカンの治し方

1.マウスピースで治す

子供の舌の位置が低いことによって口呼吸になっている場合があります。その場合はマウスピースで舌を正しい位置にすることが出来ます。

「プレオルソ」というシリコン製のマウスピースを毎日、日中の1時間と就寝中にお口につけるだけで、舌の位置を改善できます。それ以外の時間は付ける必要はありませんので、子供にとっても楽に使え、口の周りの筋肉の発達を促す効果もあります。

▼口呼吸を治すマウスピースについてはこちらで解説しています。

2.お口のトレーニングで治す

お口ポカンを治すためのトレーニング(MFT・口腔筋機能療法)2種類ご紹介します。

あいうべ体操

あいうべ体操のやり方

あいうべ体操のやり方
  1. あーと口を大きく開けて・・
  2. いーと口を横に広げて・・
  3. うーと口をすぼめて・・
  4. べーと舌を下へ出します

これを1セットとして1日30回くらい行いましょう。
あいうべ体操は、お口周りの筋肉のトレーニングになりますので、ぜひ続けて行ってみて下さい。

舌を動かす体操

お口を閉じたまま舌で歯茎の表面をなぞり、上→右→下→左とゆっくり回します。次は反対方向にゆっくり回します。

1日20回ずつくらい行いましょう。
あいうべ体操と同じく、お口周りや表情筋を鍛えることが出来ます。

子供のお口ぽかんの原因は?

子供が口を開けっぱなしにするお口ポカンの癖には、いくつかの原因が考えられます。

  1. 呼吸・・鼻呼吸ができていなかったり鼻が詰まっていると、口呼吸になります。常に口呼吸をしていると、口が開けっぱなしになります。
  2. 歯並びや顎の問題・・歯並びや顎の成長に問題があって口呼吸になっていることがあります。
  3. 鼻や咽喉の問題・・扁桃腺の腫れやアレルギー、副鼻腔炎などの問題があると、鼻呼吸が難しくなって口呼吸になる可能性があります。
  4. 習慣・・単純に子供が特に意識せずに口を開けている習慣を身につけてしまっている場合もあります。
  5. 集中・・子供が何かに夢中になっているときに口を開けたままになることがよくあります。テレビを見ていたりゲームをしている時など、集中すると無意識に口が開いてしまう場合があります。

子供の歯並びの問題は6歳までにほぼ決まる

顔の骨は6歳までに80%の成長を終えるといわれます。つまり6歳までが、歯並びを整える上では重要な時期になります。

子供の歯並びが整うかどうかを決定するのはお口の中の状態だけでなく、食事や生活習慣も密接に関係していますので、親御さんは注意が必要です。

舌の正しい使い方とは?

口呼吸によりいつも口を開けている癖がある場合、開咬という不正咬合になることがあります。開咬は奥歯を噛んだ時に前歯の上下が噛み合わない状態になります。

開咬になると食事の際に食べ物を舌で前歯の裏側に押しつけたり、舌で押し出すような食べ方になりがちです。このような食べ方をしていると開咬は悪化しますし、開咬と同時に出っ歯や受け口が起こったりすることもあります。

舌が正しい位置になく低い位置になってしまっている低位舌という状態や、舌を上下の歯の隙間から出し入れするような癖がある場合も、不正咬合の原因となります。

舌はいつも上顎に沿わせるようにつけておき、歯を押したりしないようにしなければなりません。

うつぶせ寝や頬杖は顎や歯並びに影響する

うつぶせ寝や頬杖をつくのが習慣になっていると、顎や歯に力が加わるために骨格は簡単に動いてしまいます。特にうつぶせ寝や頬杖は顔の歪みや受け口、出っ歯の原因になりますので、頻繁に行わないように注意しましょう。

猫背は歯並びに影響する

姿勢が悪くて猫背になっている場合、首や腰などにも影響があるといわれます。

姿勢が悪い影響で前屈みで頭が前傾した状態が続くと、深い呼吸がしにくいので、自然に上顎を前に突き出す形になります。

その結果、頭のバランスをとるために下顎が後退するようになり、下顎の発育が抑制されて歯列不正が起こってしまいます。

指しゃぶり、爪噛みも不正咬合の原因になる

前歯で指や舌をかむ癖があると、指の分だけ噛み合わせが開いてしまい、開咬になったり、出っ歯になるリスクも高まります。

正しい口腔機能のためのチェック

  1. 鼻で呼吸しているか
  2. 唇を閉じているか
  3. 舌は正しい位置にあるか
  4. 食事の時によく噛んでいるか
  5. 猫背になっていないか

しっかりと顎を育てるための食事中の注意

①食事中の姿勢について

・背筋を伸ばす
・食事に集中して落ち着いてよく噛んで食べる

②食事中の飲み物について

・お茶やジュースなどで流し込んで食べるのをやめさせ、しっかり噛んで食べるようにする。

③一口大以上の大きさの料理を食卓に出す

・前歯を使って噛み切る動作を行う

④テレビを見ながら食事するのをやめる

・家族間でコミュニケーションをとる
・テレビに気を取られてしっかり噛まずに飲み込むのを防ぐ

子供のお口ポカンの癖の治し方に関するQ&A

子供のお口ポカンの癖はどのように治せば良いですか?

子供のお口ポカンの癖を治すためには、口を閉じる習慣を育てることが重要です。口を閉じると、前歯が正しい角度を保ちます。口を開けている癖がある場合は、矯正指導や口の周辺の筋肉トレーニングを通じて口を閉じる習慣を身につけさせることが効果的です。

お口ポカンの癖が子供の歯並びにどのような影響を与えますか?

子供がお口ポカンの癖を持っていると、前歯が前方に傾いて出っ歯になる可能性があります。口を閉じることで周辺の筋肉が正しい力を保ち、歯の角度が適切に保たれます。お口ポカンの状態が続くと、口周りの筋肉が弱くなり、前歯の傾向が強まる可能性があります。

正しい舌の使い方とはどのようなものですか?

正しい舌の使い方は、口呼吸や開咬を避けるために重要です。口呼吸による口を開けたままの癖がある場合、舌の位置が正しい位置にならず不正咬合を引き起こすことがあります。舌は食べたり話したりしている時以外は上顎の口蓋にぴったりつくようにし、上下の歯の隙間から出し入れすることなく、正しい位置に保つことが必要です。

まとめ

歯のキャラクター

歯並びを良くするためには3歳~6歳にしっかりと顎の骨格を育てることが大切です。食育・機能訓練・悪習癖の改善を目指しましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック