歯の保険診療と保険外診療の違いは?

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

歯科の保険診療と自費診療の違いは?

歯科の保険診療と自費診療の主な違いは、治療費だけではありません。保険診療は、国が定めた治療方法・材料・適用条件の範囲内で行われます。一方、自費診療は公的医療保険の制限を受けないため、材料や治療方法、見た目、装着感などの選択肢が広がります。

ただし、自費診療の方が必ず優れている、あるいは保険診療では十分な治療ができない、ということではありません。治療する歯の状態、治療の目的、見た目への希望、予算などによって、適した選択は変わります。

大切なのは、保険診療と自費診療を単純に「安い治療と高い治療」に分けるのではなく、何を優先するための治療なのかを理解して選ぶことです。

この記事を読むとわかること歯科の保険診療と自費診療の基本的な違い

  1. 保険が適用される治療と、原則として自費になる治療
  2. 保険診療と自費診療のメリット・デメリット
  3. 詰め物・被せ物や入れ歯など、治療別の違い
  4. 自費診療を勧められたときに確認したいポイント
  5. 自分に合った治療方法を選ぶための判断基準

 

歯科の保険診療と自費診療は何が違う?

保険診療は、国が定めた治療方法や材料、適用条件に沿って行われる治療です。患者さんは年齢や所得などに応じた自己負担割合を支払います。自費診療は公的医療保険が適用されず、原則として治療費を全額自己負担する代わりに、使用する材料や治療方法の選択肢が広がります。

保険と自費の違いは、費用だけでなく、選べる材料や治療方法の範囲にあります。

保険診療は、虫歯や歯周病などの病気を治し、噛む機能を回復するために必要な治療を、全国共通の公的医療保険制度に基づいて受ける仕組みです。

治療費のすべてを患者さんが負担するわけではなく、一般的な現役世代では3割負担となります。ただし、自己負担割合は年齢や所得、公費負担制度などによって異なります。

一方の自費診療は、保険制度で定められた方法や材料に限定されません。そのため、天然歯に近い色の被せ物、薄くて違和感の少ない入れ歯、一般的なインプラント治療や矯正治療など、患者さんの希望に合わせた選択肢を検討できます。

保険診療と自費診療の基本的な違いを、以下の表にまとめます。費用だけを見ると保険診療の方が負担を抑えやすい一方、自費診療には材料や設計の自由度が高いという特徴があります。

比較項目 保険診療 自費診療
治療費 年齢や所得などに応じて一部を負担 原則として全額自己負担
治療方法 国が定めた方法・条件の範囲内 歯科医院が提供する治療から選択
使用する材料 材料や適用部位に条件がある セラミックなど選択肢が広い
見た目 部位や症例によって選択肢が限られる 色や形を細かく調整しやすい
費用設定 診療報酬に基づいて決まる 歯科医院によって異なる
保証や管理 内容は治療や歯科医院によって異なる 医院独自の保証が設けられる場合がある

表の内容からもわかるように、両者の違いは「どちらが上か」ではなく、制度上の目的と選択できる範囲にあります。保険診療で目的を十分に達成できる場合もあれば、見た目や装着感などを重視するために、自費診療が適している場合もあります。

歯科の保険診療とはどのような治療?

保険がきく治療ときかに治療がある

歯科の保険診療は、虫歯、歯周病、根管治療、抜歯、入れ歯など、病気の治療や機能回復を目的として行われます。ただし、使用できる材料や治療方法、保険が適用される条件は国によって定められており、患者さんの希望だけで自由に変更できるわけではありません。

保険診療は、病気の治療とお口の機能回復を目的とした公的な医療制度です。

保険診療では、虫歯を削って詰める、歯周病の検査や治療を行う、歯の根の治療をする、抜歯をする、入れ歯を作るといった幅広い治療を受けられます。

「保険診療は必要最小限の治療」と表現されることがありますが、保険診療だから治療の質が低いという意味ではありません。

より正確には、国が定めた治療方法・材料・適用条件に沿って行う治療です。

保険診療には、次のような特徴があります。

  1. 全国共通の制度に基づいている
    → 同じ治療内容であれば、原則として全国共通の診療報酬を基準に費用が計算されます。
  2. 患者さんの費用負担を抑えやすい
    → 年齢や所得などに応じて、一部の金額を窓口で支払います。
  3. 適用できる治療や材料に条件がある
    → 治療する歯の位置、歯の状態、使用する材料などによっては、保険が適用されない場合があります。
  4. 希望したからといって必ず保険適用になるわけではない
    → 「白い材料にしたい」「特定の方法で治療したい」という希望があっても、保険上の条件を満たさなければ自費診療になります。

近年は、CAD/CAM冠やCAD/CAMの詰め物など、保険診療で使える白い材料の範囲も見直されています。2026年度の診療報酬改定でも、CAD/CAM冠やCAD/CAMの詰め物に関する評価が改定されています。

そのため、「保険診療の被せ物はすべて銀歯」というわけではありません。ただし、白い材料を使用できるかどうかは、歯の位置や噛み合わせ、残っている歯の状態などによって異なります。

保険診療は費用を抑えながら、病気を治療して機能を回復するための重要な選択肢です。まずは保険の範囲内でどのような治療ができるのか、説明を受けることが大切です。

歯科の自費診療とはどのような治療?

自費診療は、公的医療保険が適用されず、治療費を原則として患者さんが全額負担する治療です。保険制度の材料や治療方法の制限を受けないため、見た目、耐久性、装着感、金属を使わないことなど、患者さんの希望に合わせた治療を検討しやすくなります。

自費診療は費用負担が大きい一方、治療方法や材料の選択肢が広がります。

自費診療では、歯科医院ごとに設定された治療方法や材料から、患者さんの希望に合うものを選びます。

代表的なものには、次のような治療があります。

  1. セラミックやジルコニアを使った詰め物・被せ物
  2. 一般的なインプラント治療
  3. 一般的な歯列矯正
  4. ホワイトニング
  5. 金属床義歯
  6. ノンクラスプデンチャー
  7. 自費による精密根管治療
  8. ダイレクトボンディング

自費診療では、歯の色や透明感、形、噛み合わせなどを細かく調整しやすくなります。また、入れ歯を薄くしたり、金属の留め具を目立ちにくくしたりするなど、装着感や見た目に配慮した治療も選択できます。

ただし、自費診療だから必ず長持ちするわけではありません。

治療後の状態は、次のような要素にも左右されます。

  1. 治療する歯に残っている健康な部分
  2. 虫歯や歯周病の進行状態
  3. 噛み合わせや歯ぎしり
  4. 治療の設計と精度
  5. 毎日の歯磨き
  6. 定期健診やメンテナンス

高価な材料を使っても、土台となる歯が弱っていたり、噛み合わせの負担が強かったりすれば、トラブルが起こる可能性はあります。

そのため、自費診療を検討するときは、材料の名称や価格だけでなく、なぜその治療が必要なのか、どのようなリスクがあるのかまで確認することが重要です。※歯科医院によって取り扱っている材料の種類は違いますので、確認が必要です。

保険診療と自費診療は何を基準に選べばいい?

治療を選ぶ際は、価格だけで判断せず、治療の目的、歯の状態、見た目への希望、耐久性、治療後の管理まで含めて検討する必要があります。高額な治療が必ず最良とは限らず、反対に保険診療だけでは希望を満たしにくい場合もあります。

治療費ではなく、「何を優先したいか」を整理して選ぶことが大切です。

保険診療と自費診療で迷ったときは、最初に治療の優先順位を整理しましょう。

判断するときの主なポイントは、次の5つです。

1.治療の目的は何か

痛みをなくすこと、噛めるようにすること、見た目を整えることなど、治療の目的によって選択肢は変わります。

痛みや虫歯を治すことが主な目的であれば、保険診療で対応できるケースは多くあります。

一方、前歯の色や透明感を周囲の歯に細かく合わせたい場合などは、自費診療の方が希望を実現しやすいことがあります。

2.歯をどの程度残せるか

被せ物の材料だけを比較しても、歯に残っている健康な部分が少なければ、長期的な安定が難しくなることがあります。

歯を残せる可能性、神経の状態、歯の根にひびがないかなども含めて判断する必要があります。

3.見た目をどこまで重視するか

奥歯では噛む機能を優先し、前歯では見た目も重視するなど、治療する場所によって考え方を変えても問題ありません。

お口の中のすべてを同じ基準で選ぶ必要はありません。

4.費用をどこまで負担できるか

自費診療は歯科医院によって料金が異なり、複数の歯を治療すると総額が大きくなることがあります。

治療費だけでなく、仮歯、検査、追加処置、定期管理などが料金に含まれているかも確認しましょう。

5.治療後の管理を続けられるか

どのような材料を使っても、歯磨きや定期健診が不要になるわけではありません。治療後も管理を続けられるかどうかは、材料選びと同じくらい重要です。

治療を選ぶ際に何を優先すればよいか、考え方を整理してみましょう。一つだけで決めるのではなく、複数の条件を組み合わせて判断することが大切です。

優先したいこと 検討しやすい選択肢 確認したいポイント
費用を抑えたい 保険診療 保険適用の条件と使用できる材料
自然な見た目にしたい 自費診療も検討 色、透明感、形の調整範囲
金属を避けたい 保険・自費の両方を確認 白い材料の保険適用条件
入れ歯の違和感を減らしたい 自費の入れ歯も検討 厚み、重さ、留め具、修理方法
歯を失った部分を固定式にしたい ブリッジやインプラント 周囲の歯、顎の骨、手術の可否
長期的な安定を重視したい 両方を比較 材料だけでなく設計・管理も確認

「高い治療を選べば安心」「保険診療ならすべて同じ」という考え方は、どちらも適切ではありません。治療方法の違いだけでなく、説明を受けて納得できるかどうかも、歯科医院を選ぶ重要な判断材料になります。

詰め物・被せ物では保険と自費で何が違う?

保険診療でも、条件を満たせば白い詰め物や被せ物を使用できる場合があります。自費診療ではセラミックやジルコニアなどを選択でき、色や形を細かく調整しやすくなります。ただし、どの材料にもメリットと注意点があります。

白い歯がすべて自費とは限りませんが、適用条件と材料の違いがあります。

小さな虫歯では、保険診療のコンポジットレジンを直接詰めて治療できる場合があります。

虫歯の範囲が広い場合や、歯を大きく削る必要がある場合には、詰め物や被せ物を製作します。

保険診療で使用される主な材料には、次のようなものがあります。

  1. コンポジットレジン
  2. CAD/CAM材料
  3. 歯科用金属
  4. 硬質レジンなど

一方、自費診療では、セラミック、ジルコニア、ゴールドなどから、歯の位置や希望に合う材料を検討できます。※歯科医院によって取り扱っている材料は違いますので必ず確認しましょう。

セラミックやジルコニアは、天然歯に近い色を再現しやすく、金属を使用しない点が特徴です。ただし、強い力が加わると欠ける可能性があり、噛み合わせや歯ぎしりへの配慮が必要です。

保険の金属製の詰め物・被せ物についても、「必ず隙間ができる」「必ず二次虫歯になる」というわけではありません。詰め物や被せ物の周囲に再び虫歯ができるかどうかは、材料だけでなく、接着状態、治療の精度、歯磨き、食生活、定期管理などにも左右されます。

材料だけを見て決めるのではなく、治療する歯に適した強度や厚みを確保できるかまで確認しましょう。

根管治療は保険診療でも受けられる?

歯の神経や根の中を治療する根管治療は、保険診療でも受けられます。自費根管治療では、治療時間、使用する器具や材料、治療環境などが異なる場合がありますが、マイクロスコープを使用する治療がすべて自費になるとは限りません。

根管治療そのものは保険適用ですが、自費では治療内容や使用する器材や環境が異なる場合があります。

虫歯が歯の神経まで進んだ場合や、過去に治療した歯の根で炎症が再発した場合には、根管治療が必要になることがあります。

根管治療は保険診療でも行われています。

自費根管治療を行う歯科医院では、次のような点に違いが設けられている場合があります。

  • 1回の治療に確保する時間
  • 使用する器具や薬剤
  • ラバーダムの使用方針
  • マイクロスコープの活用
  • 治療回数や治療計画
  • 治療後に使用する土台や被せ物

ただし、マイクロスコープを使用する治療が、すべて自費診療になるわけではありません。一定の根管治療や処置では、マイクロスコープに関する保険上の評価が設けられています。

根管治療で大切なのは、「保険か自費か」という区分だけではなく、治療する歯を残せる見込みや、根にひびがないか、治療後にどのような被せ物を入れるかまで考えることです。

入れ歯やブリッジではどのような違いがある?

歯を失った場合、保険診療では入れ歯や適用条件を満たすブリッジを選べます。自費診療では、薄い金属床義歯、金属の留め具が目立ちにくい入れ歯、セラミックを使ったブリッジなどを検討できます。

入れ歯やブリッジでは、材料、見た目、厚み、装着感などに違いが出ます。

保険の入れ歯では、主にレジンと呼ばれる樹脂を使用します。部分入れ歯では、残っている歯に金属の留め具をかける設計が一般的です。

保険の入れ歯にも、費用を抑えやすい、修理や調整をしやすいというメリットがあります。

一方、自費の入れ歯には次のような選択肢があります。

  1. 金属床義歯
  2. ノンクラスプデンチャー
  3. インプラントを利用した入れ歯
  4. 磁石などを利用した入れ歯

金属床義歯は、床の一部を金属で作ることで薄くしやすく、食べ物の温度も感じやすいという特徴があります。

ノンクラスプデンチャーは、目立つ金属の留め具を使用しない設計が可能ですが、症例によっては修理や調整が難しくなる場合があります。

ブリッジについては、保険適用の条件を満たせば保険診療で治療できます。自費診療では、セラミックやジルコニアなどを使い、見た目に配慮したブリッジを検討できます。

歯を失った場合の主な治療方法について、保険適用と特徴を整理します。同じ治療名でも、材料や歯の状態によって扱いが異なるため、詳細は診察後に確認する必要があります。

治療方法 保険適用 主な特徴 主な注意点
保険の入れ歯 適用される 費用を抑えやすく、修理や調整をしやすい 厚みや留め具が気になる場合がある
自費の入れ歯 原則として適用外 薄さ、見た目、装着感に配慮しやすい 費用が高く、修理方法も確認が必要
ブリッジ 条件を満たせば適用 固定式で取り外しが不要 支えとなる歯を削る必要がある
自費のブリッジ 原則として適用外 白い材料や設計の選択肢が広い 支えとなる歯への負担がある
インプラント 一般的には適用外 周囲の歯を大きく削らず固定式にできる 手術、治療期間、費用、定期管理が必要

どの治療にもメリットと注意点があります。「取り外し式は避けたい」「周囲の歯を削りたくない」「手術は受けたくない」など、患者さんが避けたいことを整理すると、選択肢を絞りやすくなります。

インプラントや矯正治療は保険が適用される?

一般的なインプラント治療や矯正治療は、原則として自費診療です。ただし、顎の骨を広範囲に失った場合や、国が定める疾患・顎変形症に伴う不正咬合など、一定の条件を満たす場合には保険が適用されることがあります。

インプラントは原則は自費ですが、特定の病気や症例では保険適用になる場合があります。

一般的なインプラント治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。日本歯科医師会も、インプラントは基本的に保険適用外であり、費用は医療機関ごとに異なると説明しています。

ただし、病気や事故などによって顎の骨を広範囲に失った場合など、所定の条件を満たすケースでは保険が適用されることがあります。

保険診療としてインプラント治療を受けるには、患者さん側の条件だけでなく、入院設備など一定の施設基準を満たした医療機関で治療を受ける必要があります。

一般的な歯列矯正も、見た目や通常の不正咬合を改善する目的で行う場合は自費診療です。

一方、次のような場合には保険適用となる可能性があります。

  1. 顎変形症で、顎の骨を動かす手術が必要な場合
  2. 国が定める先天性疾患などに伴う不正咬合
  3. 一定の条件を満たす前歯の永久歯の萌出障害

保険適用の矯正治療は、厚生労働大臣が定めた疾患や施設基準などの条件を満たす必要があります。日本歯科医師会も、顎変形症や一部の先天異常に伴う不正咬合では、所定の医療機関で保険適用になると案内しています。

「矯正だからすべて自費」「インプラントだから絶対に保険がきかない」と決めつけず、病気や顎の状態に応じて確認することが大切です。

保険診療のメリット・デメリットは?

保険診療の大きなメリットは、患者さんの費用負担を抑えながら、虫歯や歯周病などの治療を受けられることです。一方、治療方法や材料には適用条件があり、見た目や装着感に関する細かな希望には対応できない場合があります。

費用を抑えやすい反面、選べる材料や方法には制限があります。

保険診療のメリット

  1. 治療費の負担を抑えやすい
    → 公的医療保険が適用されるため、治療費の全額を負担する必要はありません。
  2. 幅広い歯科疾患に対応している
    → 虫歯、歯周病、根管治療、抜歯、入れ歯など、多くの治療を受けられます。
  3. 全国共通の制度で運用されている
    → 基本的な費用は診療報酬に基づいて計算されます。
  4. 急な痛みや腫れにも利用しやすい
    → 応急処置だけでなく、その後の治療も保険診療で対応できる場合があります。

保険診療のデメリット

  1. 使用する材料に条件がある
    → 希望する材料をすべて自由に選べるわけではありません。
  2. 適用される歯や症例が決められている
    → 同じ白い被せ物でも、歯の位置や噛み合わせによって保険適用外となる場合があります。
  3. 見た目の細かな調整には限界がある
    → 色や透明感を周囲の歯に細かく合わせたい場合には、自費診療が適していることがあります。
  4. 患者さんの希望だけでは治療方法を変更できない
    → 保険上の条件を満たしていない治療は、自費診療として扱われます。

保険診療は「安い代わりに悪い治療」ではありません。費用を抑えながら病気を治療し、噛む機能を回復するために欠かせない制度です。ただし、制度内で選べる方法には範囲があるため、希望との違いを確認する必要があります。

自費診療のメリット・デメリットは?

自費診療では、材料や治療方法の選択肢が広がり、見た目や装着感などにも配慮しやすくなります。一方で、費用は歯科医院ごとに異なり、高額な治療でも再治療や破損の可能性がなくなるわけではありません。

選択肢は広がりますが、費用、リスク、保証内容の確認が必要です。

自費診療のメリット

  1. 材料の選択肢が広い
    → セラミック、ジルコニア、金属床など、症例や希望に合わせた材料を検討できます。
  2. 見た目を細かく調整しやすい
    → 前歯の色、透明感、形などを周囲の歯に合わせやすくなります。
  3. 装着感に配慮した設計ができる場合がある
    → 入れ歯を薄くする、留め具を目立ちにくくするなどの工夫が可能です。
  4. 治療計画の自由度が高い
    → 医院によっては、1回の治療時間や使用する機器、治療工程などを柔軟に設定しています。

自費診療のデメリット

  1. 治療費が高くなりやすい
    → 公的医療保険が適用されないため、原則として全額自己負担です。
  2. 歯科医院によって料金が異なる
    → 同じ名称の治療でも、使用材料や工程、保証内容が異なる場合があります。
  3. 治療すれば永久にもつわけではない
    → セラミックやインプラントも、破損、虫歯、歯周病、インプラント周囲炎などが起こる可能性があります。
  4. 追加費用が発生する場合がある
    → 検査、仮歯、骨を増やす処置、修理などが別料金となることがあります。

自費診療を比較するときは、治療費の安さだけで選ばないようにしましょう。同じ「セラミック」「インプラント」という名称でも、検査、材料、治療工程、保証、治療後の管理まで同じとは限りません。

自費診療を選ぶ前に注意することは?

自費診療を受ける前には、保険診療を選んだ場合との違い、治療費の総額、追加費用、治療期間、リスク、保証条件を確認する必要があります。説明を受けても納得できない場合は、その場で決めず、セカンドオピニオンを検討しても問題ありません。

治療内容だけでなく、総額・リスク・保証まで確認してから決めましょう。

自費診療を勧められたときは、「良い材料だから」という説明だけで決めないことが大切です。

最低限、次の内容を確認しましょう。

  • なぜ自費診療が提案されたのか
  • 保険診療ではどのような治療になるのか
  • 自費診療にすると何が変わるのか
  • 治療費の総額はいくらか
  • 追加費用が発生する可能性はあるか
  • 治療期間や通院回数はどの程度か
  • どのようなリスクや失敗の可能性があるか
  • 保証期間と保証を受けるための条件
  • 治療後の健診やメンテナンス費用

説明を聞いても判断できない場合は、その日のうちに契約する必要はありません。

治療を急ぐ必要がある部分だけ先に処置し、詰め物や被せ物の材料については後日決められる場合もあります。

自費診療の契約前に確認したい内容を、質問例としてまとめます。説明を受ける際は、スマートフォンやメモ帳に記録しておくと、家族とも相談しやすくなります。

確認項目 歯科医院への質問例
治療の必要性 なぜこの自費診療が必要なのでしょうか?
保険との違い 保険診療を選んだ場合は、どのような治療になりますか?
費用 検査や仮歯を含めた総額はいくらですか?
追加料金 治療中に追加費用が発生する可能性はありますか?
治療期間 治療完了まで何回程度の通院が必要ですか?
リスク この治療で起こり得る問題を教えてください
保証 保証期間と、保証を受ける条件を教えてください
治療後の管理 定期健診の頻度と費用はどの程度ですか?

自費診療の価格差を見るときは、単に安いか高いかではなく、説明されている内容の差を見ることが重要です。治療内容、材料、担当者、保証、治療後の管理まで明確に説明している歯科医院であれば、納得したうえで判断しやすくなります。

保険診療と自費診療は一緒に受けられる?

一連の治療について、保険診療と自費診療を患者さんの希望で自由に組み合わせることは、原則として認められていません。ただし、国が定める保険外併用療養費制度の対象となる治療では、保険部分と保険外部分を組み合わせられる場合があります。

自由な併用は原則できませんが、制度上認められた例外があります。

保険診療と自費診療を同時に行う、いわゆる「混合診療」は、原則として認められていません。

例えば、保険診療として進めている一連の治療に対し、患者さんの希望だけで一部の工程や材料を自費扱いとして追加することはできない場合があります。

ただし、国が認めた「評価療養」「患者申出療養」「選定療養」などについては、保険診療と保険外診療を併用できる場合があります。

歯科では、金属床による総入れ歯などが保険外併用療養費制度の対象として扱われるケースがあります。実際に厚生労働省の地方厚生局では、金属床による総義歯を提供する医療機関や料金の情報を公表しています。

制度の対象になるかどうかは、治療内容や歯科医院の届出状況によって異なります。保険と自費の境界は複雑なため、治療開始前に「どの部分が保険で、どの部分が自費なのか」を確認しておきましょう。

保険診療と自費診療で費用・期間・通院回数は変わる?

保険診療は診療報酬に基づいて費用が決まりますが、自費診療は歯科医院ごとに料金が設定されます。治療期間や通院回数は、保険か自費かだけで決まるものではなく、歯の状態、治療内容、使用する材料、予約時間などによって異なります。

自費は高額になりやすいものの、期間や通院回数が必ず短くなるとは限りません。

保険診療では、治療内容ごとに定められた診療報酬をもとに費用が計算されます。患者さんは、そのうち年齢や所得などに応じた割合を支払います。

自費診療は歯科医院ごとに料金が異なります。費用を比較するときは、次の項目が含まれているか確認しましょう。

  • 初診やカウンセリング
  • レントゲンやCTなどの検査
  • 型取りや口腔内スキャン
  • 仮歯
  • 詰め物・被せ物
  • 麻酔
  • 追加処置
  • 治療後の調整
  • 保証
  • 定期健診やメンテナンス

自費診療では1回の予約時間を長く確保する歯科医院もありますが、自費だから必ず通院回数が少なくなるとは限りません。

セラミック治療で色や形を細かく調整する場合は、完成までに複数回の確認が必要になることがあります。

インプラント治療では、顎の骨とインプラントが安定するまで待つ期間が必要です。矯正治療も、歯を安全に動かすためには一定の期間がかかります。

費用だけでなく、治療完了までの期間や、治療後に必要な通院も含めて検討しましょう。

まとめ

歯科の保険診療と自費診療には、費用だけでなく、使用できる材料、治療方法、見た目、装着感などに違いがあります。

保険診療は、国が定めた制度の範囲内で、費用負担を抑えながら病気を治療し、お口の機能を回復するための重要な選択肢です。

自費診療では、保険制度の制限を受けないため、見た目や材料、治療方法について、より幅広い選択肢を検討できます。ただし、高額な材料を使えば必ず長持ちするわけではなく、治療後の歯磨きや定期健診も欠かせません。

治療を選ぶときは、次の点を確認しましょう。

  • 治療の目的
  • 保険診療でできること
  • 自費診療にすると何が変わるのか
  • 治療費の総額
  • 治療期間と通院回数
  • 起こり得るリスク
  • 治療後の保証と管理

保険診療と自費診療のどちらが正解かは、患者さんによって異なります。

「高い方が良い」「安い方で十分」と最初から決めるのではなく、それぞれのメリットと注意点について説明を受け、ご自身が大切にしたいことに合った治療を選びましょう。