虫歯がなくても定期健診は必要?受けるメリット・内容・頻度を解説
虫歯がなくても定期健診は必要?
虫歯がないと思っていても、歯科医院の定期健診を受けることをおすすめします。定期健診の目的は、穴が開いた虫歯を見つけることだけではありません。初期の虫歯、歯周病、詰め物や被せ物の劣化、噛み合わせ、歯垢や歯石、お口の粘膜など、自分では確認しにくい部分も調べます。
虫歯や歯周病は、初期には痛みなどの自覚症状が少ないことがあります。特に歯と歯の間、被せ物の内側、奥歯、歯肉の下などは、鏡で見ただけでは状態を判断できません。
大切なのは、「痛くなったら治療する」ことだけではなく、現在の健康な状態を確認し、小さな変化の段階で対応することです。
定期健診で問題が見つからなかった場合も、受診が無駄だったわけではありません。現在のお口の状態を記録し、次回との変化を比較できることにも意味があります。
この記事を読むとわかること
- 虫歯がなくても定期健診を受ける理由
- 痛みがなくても病気が進むことがある理由
- 歯科の定期健診で行う検査
- 定期健診とクリーニングの違い
- 虫歯と歯周病の関係
- 治療済みの歯を確認する必要性
- 定期健診を受ける頻度の目安
- 定期健診のメリットと注意点
- 費用、所要時間、レントゲン検査の考え方
- 定期健診を待たずに受診したい症状
目次
虫歯がなくても定期健診は必要?
自分では虫歯がないと思っていても、定期健診を受ける意味があります。歯科医院では、見た目だけではわかりにくい初期の虫歯、歯と歯の間の虫歯、歯周病、治療済みの歯、噛み合わせ、舌や粘膜なども確認します。
はい。定期健診は、虫歯以外のお口の問題も早めに見つけるために必要です。
「痛みがない」「穴が見えない」「食事にも困っていない」という状態でも、お口の中に問題がないとは限りません。
歯科医院の定期健診では、主に次の項目を確認します。
- 初期の虫歯
→ 歯の表面が白く濁る程度の初期変化や、奥歯の溝の変化などを確認します。歯の表面が白く濁る程度の初期変化や、奥歯の溝の変化などを確認します。 - 歯と歯の間の虫歯
→ 鏡では見えにくく、必要に応じてレントゲン検査で確認します。 - 歯周病
→ 歯肉の腫れ、出血、歯周ポケット、歯の揺れ、歯槽骨の状態などを調べます。 - 詰め物や被せ物
→ 欠け、緩み、境目の段差、内側の虫歯などがないか確認します。 - 噛み合わせ
→ 一部の歯へ強い力が集中していないか、歯のすり減りがないかを確認します。 - お口の粘膜や舌
→ 口内炎、傷、色や形の変化などを確認します。 - 歯垢や歯石
→ どこに汚れが残りやすいかを確認し、歯磨き方法を見直します。
日本歯科医師会による定期健診の解説では、虫歯や歯周病の確認に加え、歯石の除去や歯磨き方法の確認など、定期的なお口の管理の重要性が紹介されています。
定期健診は今ある歯や治療済みの部分を長く維持するために、お口全体を確認する機会です。
痛みがないのに定期健診を受ける理由は?
虫歯や歯周病は、初期には強い痛みが出ないことがあります。痛みが出てから受診すると、虫歯が歯の神経まで進んでいたり、歯周病によって歯槽骨が失われていたりする場合があります。
痛みの有無だけでは、虫歯や歯周病の進行を判断できません。
初期の虫歯は痛くないことがある
虫歯は、歯の表面から少しずつ進行します。歯の表面にあるエナメル質の段階では、痛みを感じないことがあります。冷たいものがしみる、噛むと痛いといった症状が出る頃には、象牙質や歯の神経に近い部分まで進行しているケースもあります。
特に次の場所は、自分では確認しにくい部分です。
- 歯と歯の間
- 奥歯の溝
- 被せ物や詰め物の境目
- 歯肉に近い歯の根元
- 歯並びが重なっている部分
- 矯正装置の周囲
- 一番奥にある歯
日本歯科医師会「歯科健診を定期的に受けよう」では、虫歯は歯の噛む面や根元だけでなく、歯と歯の間などの見えにくい場所や、一度治療した歯の周囲にもできる場合があると説明されています。
歯周病は静かに進行することがある
歯周病は、歯と歯肉の境目に残った歯垢などによって歯肉に炎症が起こり、進行すると歯を支える組織へ影響する病気です。初期には、歯肉から少し出血する、歯肉が赤いといった変化があっても、強い痛みが出ないことがあります。
歯周病が進行すると、次のような症状が現れる場合があります。
- 歯磨きの際に歯肉から血が出る
- 歯肉が腫れる
- 口臭が気になる
- 歯肉が下がる
- 歯が長く見える
- 食べ物が詰まりやすくなる
- 歯が揺れる
- 噛むと違和感がある
歯周病の状態は、歯周ポケットの深さだけでなく、検査時の出血、歯肉の腫れ、歯の揺れ、レントゲンで確認する歯槽骨などを総合して判断します。
治療済みの歯も痛みなく変化することがある
神経を取った歯は、内部で虫歯や炎症が起きても、初期には痛みを感じにくい場合があります。
詰め物や被せ物の境目から虫歯が進んでも、外からは見えにくいことがあります。「治療した歯だから安心」ではなく、治療後の歯ほど継続的に確認する必要があります。
歯科の定期健診では何をする?
定期健診では、問診、虫歯や歯周病の確認、治療済みの歯、噛み合わせ、歯垢や歯石、お口の粘膜などを調べます。必要に応じてレントゲン撮影、歯垢の染め出し、歯磨き指導、歯石除去なども行います。
虫歯だけでなく、お口全体の変化と清掃状態を確認します。
定期健診の内容は、患者さんのお口の状態や過去の治療歴によって異なります。
一般的には、次のような流れで行います。
1.問診
前回の受診後に、気になる症状や生活上の変化がなかったかを確認します。
例えば、次のような内容です。
- 冷たいものがしみる
- 噛んだときに違和感がある
- 歯肉から血が出る
- 口が乾く
- 被せ物が引っかかる
- 食べ物が詰まりやすい
- 顎が痛い
- 持病や服薬に変更があった
小さな違和感でも、検査の手がかりになることがあります。
2.虫歯の確認
- 歯の表面、奥歯の溝、歯と歯の間、詰め物や被せ物の周囲などを確認します。
- 必要に応じてレントゲン検査を行い、見た目では確認できない部分を調べます。
3.歯周病の検査
- 歯肉の色や腫れ、出血、歯周ポケット、歯の揺れなどを確認します。
- 過去の検査結果と比較することで、状態が安定しているか、悪化しているかを判断しやすくなります。
4.治療済みの歯の確認
詰め物や被せ物について、次のような点を確認します。
- 欠けていないか
- 緩んでいないか
- 境目に段差がないか
- 周囲に虫歯がないか
- 噛み合わせが強すぎないか
- 歯根の周囲に炎症がないか
治療した歯を長く使うためには、治療後の確認が欠かせません。
5.噛み合わせや歯のすり減りの確認
- 一部の歯へ負担が集中していないか、歯ぎしりや食いしばりによるすり減りがないかを確認します。
- 歯のひび、詰め物の欠け、顎の疲れなどが、噛み合わせの力と関係している場合があります。
6.歯垢や歯石の確認
- 歯垢が付きやすい場所や、歯石になっている部分を確認します。
- 必要に応じて染め出し液を使用すると、自分では磨けていると思っていた場所にも歯垢が残っていることがわかります。
7.歯磨き方法の確認
- 歯ブラシの当て方だけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシの種類、サイズ、使い方も確認します。
- 同じ歯磨き方法がすべての方に合うわけではありません。
- 歯並び、歯肉、被せ物、インプラントなどに合わせて、道具や方法を選びます。
8.舌や粘膜の確認
- 舌、頬の内側、唇、口の底などに、傷や色・形の変化がないかを確認します。
- 治りにくい口内炎や、被せ物・入れ歯による慢性的な刺激などが見つかる場合があります。
9.必要に応じた清掃
- 歯垢、歯石、着色などを、専用の器具で取り除きます。
- 歯周病がある場合は、一般的な清掃ではなく、歯周病治療として複数回に分けて処置することがあります。
日本歯科医師会が案内する歯科健診の内容には、虫歯や歯周ポケットの確認、歯垢の染め出し、歯磨き指導、歯垢・歯石の除去、歯科相談などが含まれています。
定期健診では、虫歯の有無だけを見ているわけではありません。お口全体を確認し、前回からの変化や、患者さん自身では気づきにくい問題を探します。
| 確認項目 | 主な内容 | 自分で気づきにくい問題 |
|---|---|---|
| 虫歯 | 歯の表面、奥歯、歯と歯の間を確認 | 初期虫歯、隣接面の虫歯 |
| 歯周病 | 歯周ポケット、出血、歯の揺れを確認 | 痛みのない歯周炎 |
| 詰め物・被せ物 | 欠け、緩み、境目を確認 | 内側や境目の虫歯 |
| 噛み合わせ | 歯の接触やすり減りを確認 | 一部の歯への過剰な負担 |
| 歯垢・歯石 | 付着している場所を確認 | 自分の磨き癖 |
| 舌・粘膜 | 傷、色、形の変化を確認 | 痛みのない粘膜変化 |
健診内容は、毎回すべて同じとは限りません。過去の検査結果や症状、虫歯・歯周病のリスクに応じて、必要な項目を選んで確認します。
定期健診とクリーニングは何が違う?
定期健診は、お口の中に病気や変化がないかを確認することが中心です。クリーニングは、歯垢、歯石、着色などを除去する処置です。同じ日に両方を行う場合もありますが、目的は異なります。
定期健診は状態の確認、クリーニングは汚れの除去が主な目的です。
歯科医院へ定期的に通っている方の中には、「定期健診=歯石取り」と考えている方もおられます。しかし、定期健診とクリーニングには、それぞれ別の役割があります。
定期健診の目的
定期健診では、病気や変化がないかを調べます。
主な確認項目は次の通りです。
- 虫歯
- 歯周病
- 詰め物や被せ物
- 噛み合わせ
- 歯の揺れ
- 歯垢や歯石
- 舌や粘膜
- 入れ歯やインプラント
- 歯磨き方法
- クリーニングの目的
クリーニングでは、歯へ付着した汚れを取り除きます。
主な対象は次の通りです。
- 歯垢
- 歯石
- 茶渋などの着色
- 歯ブラシが届きにくい部分の汚れ
歯石は歯ブラシでは取り除けないため、歯科医院の専用器具で除去します。
歯周病治療との違い
歯周病が見つかった場合、単に表面をきれいにするだけでは十分ではないことがあります。
歯肉の下に歯石が付いている場合や、歯周ポケットが深い場合は、歯周病治療として複数回に分けて清掃や検査を行います。
定期健診とクリーニングは、同じ日に行われることが多いため、区別しにくいかもしれません。次のように目的を分けると理解しやすくなります。
| 比較項目 | 定期健診 | クリーニング |
|---|---|---|
| 主な目的 | 病気や変化の確認 | 歯垢・歯石・着色の除去 |
| 主な内容 | 虫歯、歯周病、噛み合わせなどを確認 | 専用器具で歯を清掃 |
| 問題が見つかった場合 | 追加検査や治療を提案 | 必要に応じて歯周病治療へ移行 |
| 毎回の実施 | 状態に応じた項目を確認 | 汚れや歯石の状態に応じて実施 |
定期健診は、単に歯をきれいにしてもらう日ではありません。
汚れを取る前に、なぜ同じ場所へ汚れが付きやすいのか、歯肉や治療済みの歯に変化がないかを確認することにも意味があります。
虫歯がない人も歯周病になる?
虫歯になった経験が少なくても、歯周病になる可能性はあります。虫歯と歯周病は、原因や進行の仕組みが異なる病気です。虫歯の本数だけで歯周病のリスクを判断することはできません。
虫歯が少ないことは、歯周病にならないという意味ではありません。
虫歯と歯周病は、どちらも歯垢中の細菌が関係する病気ですが、影響を受ける組織や進行の仕組みが異なります。
虫歯は、細菌が作る酸によって歯が溶ける病気です。
歯周病は、歯肉の炎症から始まり、進行すると歯を支える歯槽骨などへ影響する病気です。
そのため、虫歯がほとんどない方でも、歯肉に炎症が起こることがあります。
歯周病のリスクには、次のような要素が関係します。
- 歯垢や歯石
- 歯磨きの状態
- 喫煙
- 糖尿病
- 過去の歯周病
- 歯並び
- 口の乾燥
- 噛み合わせ
- 加齢
- 定期管理の有無
「虫歯になったことがないから、歯が丈夫」と考え、歯科医院を長期間受診していない方もおられます。しかし、虫歯が少ないことと、歯周病の検査が不要であることは別です。
歯周病の状態は、虫歯の本数ではなく、歯周ポケット、出血、歯の揺れ、レントゲンで確認する歯槽骨などを調べて判断します。虫歯と歯周病のどちらか一方だけを警戒するのではなく、お口全体を確認することが重要です。
治療済みの歯も定期的な確認が必要?
詰め物や被せ物を入れた歯、神経を取った歯、ブリッジ、インプラントなどは、治療後も継続的な確認が必要です。材料の劣化や周囲の虫歯、噛み合わせの変化などが起こる場合があります。
治療が終わった歯も、時間の経過によって問題が起こることがあります。
歯科治療は、人工物を入れた時点で永久に終了するわけではありません。お口の中は、毎日の食事、歯ぎしり、温度変化、唾液、細菌などの影響を受けています。
詰め物や被せ物がある歯
詰め物や被せ物の境目では、次のような変化が起こることがあります。
- 接着部分の劣化
- 材料の欠け
- 境目の段差
- 内側や境目の虫歯
- 噛み合わせの変化
- 歯根のひび
見た目に問題がなくても、内側で虫歯が進行している場合があります。
神経を取った歯
- 神経を取った歯は、虫歯や歯根周囲の炎症が起こっても、痛みを感じにくいことがあります。
- 定期健診では、被せ物の状態だけでなく、必要に応じてレントゲンで歯根周囲を確認します。
ブリッジ
- ブリッジは、失った歯の両隣を支えにしているため、支えとなる歯へ負担がかかります。
- 人工歯の下や被せ物の境目は歯磨きが難しいため、専用のデンタルフロスや歯間ブラシが必要になる場合があります。
インプラント
- インプラントは虫歯にはなりませんが、周囲の歯肉や骨に炎症が起こるインプラント周囲炎には注意が必要です。
- 定期健診では、歯肉、歯垢、噛み合わせ、被せ物、骨の状態などを確認します。
入れ歯
- 入れ歯は、歯肉や顎の骨の変化によって、少しずつ合わなくなることがあります。
- 痛みがなくても、入れ歯を支える歯や歯肉に過度な負担がかかっている場合があります。
治療済みの歯や人工物は、「治したから確認不要」ではありません。治療後の状態を維持し、問題が大きくなる前に調整することが、長く使用するために重要です。
定期健診は何か月ごとに受ける?
定期健診は、一般的には3~6か月ごとが一つの目安ですが、すべての患者さんに同じ間隔が適しているわけではありません。虫歯や歯周病のリスク、治療歴、歯磨きの状態などに応じて決めます。
頻度は一律ではなく、患者さんのお口のリスクに合わせて決めます。
「歯科の定期健診は3か月ごと」と聞いたことがある方も多いでしょう。3か月はよく使われる目安ですが、必ず全員が3か月ごとに受診しなければならないわけではありません。
適切な間隔は、次の項目によって変わります。
- 虫歯のなりやすさ
- 歯周病の進行度
- 過去の治療歴
- 歯垢や歯石の付き方
- 歯磨きの状態
- 詰め物や被せ物の数
- インプラントや入れ歯の有無
- 喫煙習慣
- 糖尿病などの全身状態
- 矯正治療の有無
- 年齢や生活環境
1~3か月ごとが検討される方
次のような方は、短めの間隔での管理が必要になる場合があります。
- 歯周病の治療後
- 歯周ポケットが深い
- 歯肉から出血しやすい
- 歯垢や歯石が付きやすい
- 虫歯が繰り返しできる
- インプラントがある
- 矯正治療中
- 喫煙習慣がある
- 糖尿病がある
- 歯磨きが難しい
歯周病は、治療によって状態が安定した後も再発する可能性があります。厚生労働省「メインテナンス」でも、歯周病治療後は定期的にお口の状態を確認し、良好な状態を維持することが重要と説明されています。
3~6か月ごとが目安になる方
次のような方では、3~6か月ごとが一つの目安になります。
- お口の状態がおおむね安定している
- 治療済みの歯がある
- 軽度の歯肉炎がある
- 磨き残しや歯石が時々見られる
- 虫歯や歯周病のリスクが中程度
- 半年程度の間隔になる場合
歯肉の状態が安定し、歯磨きも良好で、虫歯や歯周病のリスクが低いと判断された場合は、半年程度の間隔になることもあります。ただし、自己判断で間隔を延ばすのではなく、歯科医師や歯科衛生士と相談しましょう。
定期健診の頻度は、年齢だけでは決まりません。同じ年代でも、お口の状態や治療歴によって、適切な通院間隔は異なります。
| お口の状態 | 頻度の一例 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 歯周病治療後 | 1~3か月ごと | 再発や歯周ポケットを確認するため |
| 虫歯リスクが高い | 3か月前後 | 初期の変化を早めに確認するため |
| 詰め物・被せ物が多い | 3~6か月ごと | 境目や噛み合わせを確認するため |
| 状態が安定している | 3~6か月ごと | 良い状態を維持するため |
| リスクが低い | 半年程度の場合もある | 歯科医師の判断で間隔を調整するため |
| 矯正・インプラント治療中 | 治療内容に合わせる | 装置や周囲組織を管理するため |
通院間隔が短いほどよいとは限りません。必要な頻度で受診し、その間は自宅で適切な歯磨きや歯間清掃を続けることが重要です。
定期健診にはどのようなメリットがある?
定期健診には、問題を小さい段階で見つけやすい、治療済みの歯を確認できる、歯周病の変化を記録できる、磨き残しを把握できるなどのメリットがあります。
定期健診は、現在の歯をできるだけ長く維持するために役立ちます。
小さい問題の段階で対応しやすい
- 虫歯や歯周病を完全に防げるとは限りません。
- しかし、初期の段階で見つけられれば、治療範囲や通院回数を抑えられる可能性があります。
虫歯の状態によっては、すぐに削らず、フッ化物の利用や歯磨き、食生活の改善を行いながら経過を観察する場合もあります。
治療済みの歯を守りやすい
- 詰め物、被せ物、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの状態を確認できます。
- 小さな欠けや噛み合わせのずれを早めに調整できれば、大きな破損を防げる可能性があります。
歯周病の変化を記録できる
- 歯周ポケットや出血、歯の揺れなどを定期的に記録すると、状態の変化を比較できます。
- 一度の数値だけでなく、前回から深くなっているか、出血が減っているかなどを見ることが重要です。
自分の磨き癖がわかる
歯垢は、毎回同じ場所へ残る傾向があります。
例えば、次のような場所です。
- 利き手側の奥歯
- 下の前歯の裏側
- 一番奥の歯
- 歯と歯の間
- 被せ物の周囲
- 歯並びが重なっている場所
磨き残しの場所がわかれば、歯ブラシの当て方や道具を調整できます。
お口の変化に合わせてケア方法を変えられる
- 歯肉が下がる、歯と歯の隙間が変わる、入れ歯やインプラントが入るなど、お口の状態は年齢や治療によって変化します。
- 以前はデンタルフロスが合っていた場所でも、歯間ブラシが必要になる場合があります。
定期健診では、その時点のお口に合ったケア方法を確認できます。
問題がないことを確認できる
- 定期健診で虫歯や歯周病が見つからなかった場合、「受診しなくても同じだった」と思うかもしれません。
- 問題がないことを専門的に確認し、記録を残せたこと自体が健診の成果です。血圧や健康診断と同様に、正常な状態を知っておくことで、将来の変化を判断しやすくなります。
日本歯科医師会も、定期的な歯科受診には、歯石の除去、気づきにくい虫歯や歯周病への早期対応、適切なセルフケアの指導といった利点があると説明しています。
定期健診にデメリットや注意点はある?
定期健診には時間や費用が必要で、受ければすべての病気を防げるわけではありません。また、受診頻度は多ければよいのではなく、患者さんのお口の状態に合っていることが大切です。
定期健診だけに頼らず、毎日の歯磨きと適切な受診頻度を組み合わせましょう。
時間と費用がかかる
- 問題が見つからなくても、受診のための時間や費用は必要です。
- ただし、症状が出てから大きな治療を行う場合と比べると、早い段階で対応できる可能性があります。
病気を完全に防げるわけではない
- 定期健診へ通っていても、虫歯や歯周病が絶対に起こらないわけではありません。
- 定期健診は、自宅での歯磨きや食生活を補うものです。
- 毎日のケアを行わず、歯科医院の清掃だけに頼っても、良い状態を維持するのは難しいでしょう。
受診間隔が短ければよいとは限らない
- 必要以上に頻繁に受診することが、すべての方に有益とは限りません。
- リスクが低い方と、歯周病治療後の方では、必要な管理の頻度が異なります。
レントゲンを毎回撮るとは限らない
- レントゲン検査は、目で見えない虫歯や歯槽骨、歯根の状態を確認するために役立ちます。
- ただし、毎回必ず撮影するわけではありません。
次の項目を考慮して、必要性を判断します。
- 前回撮影した時期
- 虫歯や歯周病のリスク
- 症状の有無
- 治療済みの歯
- 歯根の状態
- インプラント
- 成長期の歯並び
健診時に疑問があれば、「今回はなぜレントゲンが必要なのか」を確認してよいでしょう。
特に定期健診が重要なのはどのような人?
歯周病治療後、詰め物や被せ物が多い方、インプラントや入れ歯を使用している方、矯正治療中の方、糖尿病や喫煙習慣がある方などは、特に継続的な確認が重要です。
治療歴や全身状態によって、定期管理の重要性は高くなります。
1. 歯周病の治療を受けた方
- 歯周病は、治療後も再発することがあります。
- 歯周ポケットや出血、歯垢の状態を継続的に確認します。
2. 詰め物や被せ物が多い方
- 治療箇所が多いほど、境目や噛み合わせを確認する場所も増えます。
- 見た目に問題がなくても、材料の劣化や内側の虫歯が起こる場合があります。
3. インプラントが入っている方
- インプラント周囲炎や、被せ物・噛み合わせの問題を確認します。
- インプラントは天然歯よりも炎症に気づきにくい場合があるため、継続管理が重要です。
4. 入れ歯を使用している方
- 入れ歯の適合、支えとなる歯、歯肉、粘膜などを確認します。
- 痛みがなくても、入れ歯の下に傷や炎症がある場合があります。
5. 矯正治療中・治療後の方
- 矯正装置の周囲には歯垢が残りやすく、虫歯や歯肉炎に注意が必要です。
- 治療後は、リテーナーの状態や後戻りも確認します。
6. 喫煙習慣がある方
- 喫煙は歯周病の発症や進行に関係し、歯肉からの出血が目立ちにくくなることもあります。
- 見た目の症状だけで判断せず、定期的な検査が必要です。
7. 糖尿病がある方
- 糖尿病と歯周病は互いに影響し合うことが知られています。
- 血糖の状態や全身の治療状況も含めて、医科と連携する場合があります。
8. 口が乾きやすい方
- 唾液が少ないと、虫歯、口臭、粘膜の傷などが起こりやすくなる場合があります。
- 服薬や口呼吸などが関係していることもあります。
9. 妊娠中の方
- 妊娠中はホルモンバランスやつわりによって、お口の環境や歯磨きの状態が変わることがあります。
- 体調のよい時期に、無理のない範囲で歯科健診を受けましょう。
10.子ども
- 子どもの定期健診では、虫歯だけでなく、歯の生え替わり、噛み合わせ、仕上げ磨き、フッ化物の利用などを確認します。
- 成長によってお口の状態が変わりやすいため、年齢に合わせた管理が必要です。
症状があるときは次回の定期健診まで待っていい?
痛み、歯肉の腫れ、被せ物の脱離などの症状がある場合は、予定している定期健診の日まで待たず、早めに歯科医院へ連絡してください。定期健診は症状のない時期の管理であり、緊急性のある症状を待つためのものではありません。
症状がある場合は、定期健診の予定日に関係なく早めに相談しましょう。
次のような症状がある場合は、予定日まで待たずに歯科医院へ連絡してください。
- 冷たいものや熱いものが強くしみる
- 何もしなくても歯が痛い
- 噛むと痛い
- 歯肉が腫れている
- 歯肉から膿が出る
- 歯が揺れる
- 被せ物や詰め物が外れた
- 入れ歯が当たって傷ができた
- インプラント周囲から出血する
- 口内炎が2週間以上治らない
- 顎が痛くて口を開けにくい
- 転倒などで歯をぶつけた
次のような変化があれば、早めに状態を確認してもらいましょう。
| 気になる症状 | 考えられる主な問題 | 受診の考え方 |
|---|---|---|
| 冷たいものがしみる | 虫歯、知覚過敏など | 続く場合は早めに相談 |
| 歯肉から血が出る | 歯肉炎、歯周病など | 繰り返す場合は検査を受ける |
| 噛むと痛い | 歯根、歯周組織、ひびなど | 強く噛まず早めに受診 |
| 歯が揺れる | 歯周病、外傷など | 放置せず受診 |
| 被せ物が外れた | 接着の劣化、虫歯など | 自分で接着せず受診 |
| 口内炎が治らない | 慢性的な刺激、粘膜疾患など | 2週間以上続く場合は相談 |
| 顎が痛い | 顎関節や筋肉の問題など | 口が開きにくい場合は早めに相談 |
症状が軽くても、長く続く場合は問題が隠れている可能性があります。「次の定期健診まであと少しだから」と我慢せず、歯科医院へ症状を伝えて受診時期を相談してください。
定期健診の費用・時間・レントゲン検査は?
定期健診の費用や所要時間は、行う検査、歯周病の状態、清掃や治療の有無によって異なります。レントゲンは毎回行うものではなく、症状や過去の画像、リスクに応じて必要性を判断します。
費用と時間は内容によって変わるため、予約時に確認しましょう。
定期健診の費用
保険診療になるかどうかは、診察や検査、病気の状態、行う処置によって異なります。虫歯や歯周病などの病気があり、必要な検査や治療を行う場合は、保険診療の対象となることがあります。
一方、病気の治療ではなく、着色除去や審美目的の清掃を希望する場合は、自費診療になることがあります。
歯科医院によって料金体系が異なるため、予約時に次の点を確認するとよいでしょう。
- 初診・再診の扱い
- 保険診療か自費診療か
- レントゲン費用
- クリーニングの費用
- 歯周病検査の有無
- 同日に処置を行うか
- 複数回に分かれる可能性
定期健診にかかる時間
定期健診にかかる時間は、30分前後が一つの目安になることがありますが、内容によって異なります。
次のような場合は、長くなることがあります。
- 初めて受診する
- レントゲンを撮影する
- 歯周病の詳しい検査を行う
- 歯石が多い
- 歯磨き指導を行う
- 入れ歯やインプラントがある
- 症状について相談する
- 治療が必要な箇所が見つかる
レントゲン検査
レントゲンは毎回必ず撮影するわけではありません。歯科医師が次の点を踏まえて判断します。
- 前回の撮影時期
- 症状の有無
- 虫歯のリスク
- 歯周病の進行
- 神経を取った歯
- 被せ物やブリッジ
- インプラント
- 親知らず
- 歯の生え替わり
- 矯正治療
日本歯科医師会も、見た目では確認しにくい歯と歯の間、治療済みの歯、歯槽骨などを調べるために、必要に応じてX線検査を行うと案内しています。
不安がある場合は、撮影する目的や、前回の画像との違いについて説明を受けましょう。
まとめ
虫歯がないと思っていても、歯科医院の定期健診を受けることをおすすめします。定期健診の目的は、目に見える虫歯を探すことだけではありません。
次のような項目を確認します。
- 初期の虫歯
- 歯と歯の間の虫歯
- 歯周病
- 歯周ポケットや出血
- 詰め物や被せ物
- 噛み合わせ
- 歯垢や歯石
- 舌や粘膜
- 入れ歯やインプラント
- 歯磨き方法
虫歯と歯周病は異なる病気です。
虫歯になった経験が少なくても、歯周病になる可能性はあります。「虫歯がないから歯医者へ行かなくてよい」とは限りません。また、詰め物や被せ物、神経を取った歯、ブリッジ、インプラントなども、治療後の確認が必要です。
定期健診の間隔は、一般的には3~6か月ごとが一つの目安ですが、すべての患者さんに同じ頻度が適するわけではありません。
次のような方は、短い間隔での管理が必要になる場合があります。
- 歯周病を治療した方
- 虫歯を繰り返している方
- 詰め物や被せ物が多い方
- インプラントや入れ歯がある方
- 矯正治療中の方
- 喫煙習慣がある方
- 糖尿病がある方
- 歯垢や歯石が付きやすい方
定期健診で問題が見つからなかった場合も、受診が無駄だったわけではありません。健康な状態を確認し、数値や画像を記録することで、将来の変化を早めに見つけやすくなります。
定期健診は、なぜ同じ場所に歯垢が残るのか、以前治療した歯に変化がないか、自宅でのケア方法が現在のお口に合っているかを確認する機会です。
厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」によると、過去1年間に歯科健診を受けた方の割合は63.8%でした。
歯が痛くなってから治療を受けるだけでなく、現在ある歯を長く維持するために、症状がない時期から定期的にお口の状態を確認しましょう。
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