インプラントの上部構造の種類と特徴を教えて

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

インプラントの上部構造の種類と特徴を教えて

インプラントの上部構造(人工の歯)は、固定式・取り外し式といった種類があり、さらにセラミックやジルコニアなど使用する素材によって見た目や強度、費用、メンテナンス性が異なります。患者さんのお口の状態や失った歯の本数、治療の目的に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。

この記事を読むとわかること

  1. インプラントの上部構造の種類(固定式・可撤式)の違い
  2. 単独冠・ブリッジ・オーバーデンチャーそれぞれの特徴
  3. セラミック・ジルコニア・ハイブリッドセラミックなど素材ごとのメリット・デメリット
  4. ご自身に合った上部構造を選ぶ際のポイント

インプラント治療を検討中の方や、上部構造の選択で迷っている方はぜひ参考にしてください。

上部構造が取り外し可能かどうかの分類

ストローマンインプラント

インプラントの上部構造は患者さんご自身では取り外しができない「固定性」と、取り外しのできる「可撤式(かてつしき)」に大きく分けられます。

固定式の上部構造

上部構造とアバットメントの固定の仕方

見た目が天然歯とそっくりで審美性が高く、天然の歯と同じような感覚で噛みたい場合は、
固定性の上部構造になります。

上部構造とアバットメントを連結させるためには、歯科用のセメントまたはスクリュー(ネジ)を使って固定します。セメント固定の場合は、上部構造を外したいときに外せないなどメンテナンスしづらい面があります。

一方スクリュー固定の場合は、患者さんご自身では上部構造を外せませんが、歯科医師が外してメンテナンスを行うことができます。

ただし、スクリュー固定では、歯冠の上にアクセスホールと呼ばれるスクリュー着脱のための小さな穴がありますので、見た目が良くないという審美的な難点もあります。歯に近い色の蓋をすることもできます。

セメントとスクリューのどちらで固定するかは、使用するインプラントのメーカーや種類にもよりますので、一般的には担当医が最適なものを決定します。

単独冠とインプラントを利用したブリッジ

インプラントの単独冠とブリッジ

固定性の上部構造には、インプラントの本数によって次のような種類に分けられます。

  • 単独冠・・・インプラント1本に対して、1個の単独の上部構造を装着します。
  • インプラントを利用したブリッジ・・・3本以上連続して歯がない部分に、天然歯のブリッジの土台と同じようにインプラントを埋入し、それを土台として、連結された形の上部構造を装着セメントまたはスクリューで固定します。

取り外しの出来る可撤式(かてつしき)の上部構造

多くの歯を失った方に最適の可撤式上部構造

可撤式の上部構造は主に、多くの歯を失った方に用いられます。多くの歯を失っている場合にインプラント治療をしようとしたら、かなり多くの本数を埋入しなければならないとお思いになるでしょう。しかし、少ない本数のインプラントでより多くの歯を作る工夫がされています。

欠損歯(失った歯)が多い場合は、数本のインプラント体、1本も歯がない無歯顎の場合は、上顎・下顎にそれぞれ4〜6本以上のインプラント体を埋入して、フレームで連結固定して上部構造を装着する方法があります。

この場合の上部構造には、擬似歯肉のついた入れ歯のような形の義歯タイプもあります。

インプラントオーバーデンチャー

患者さんご自身が取り外せる可撤性上部構造の代表的なものとして「オーバーデンチャー」があります。

オーバーデンチャーとは、残存歯(残っている歯)やインプラントを支えにして、その上に取り付ける「取り外し出来る義歯」をのことをいいます。入れ歯をインプラントで固定するイメージです。しかも入れ歯は取り外し可能です。

インプラントを利用したオーバーデンチャーは、インプラント体を上顎骨の場合は4~6本以上、下顎骨の場合は2~4本以上埋入します。そして、インプラントと義歯の双方にマグネットやバーなどのアタッチメント(連結装置)を取り付けて固定させます。

マグネットの場合は、磁石の力でインプラントと入れ歯がくっつき、アタッチメントの場合はボタンのようなものでインプラントと入れ歯をくっつけて安定させます。これにより、インプラントの上に12~14本分の入れ歯が装着出来ます。

インプラントオーバーデンチャーは、歯槽骨の吸収が大きい方や、総入れ歯の方などに適しています。ご自身で着脱して入れ歯を洗って清潔に保つことが必要になりますが、治療費用が比較的経済的なので、総入れ歯の方には人気の治療法です。

インプラントの上部構造の種類比較

インプラントの上部構造にはいくつかの種類があり、それぞれ適している症例や特徴が異なります。以下の表で主な違いを確認してみましょう。

種類 固定式(単独冠・ブリッジ) 可撤式(オーバーデンチャー)
取り外し 患者さん自身では不可 患者さん自身で可能
対象となる方 1本~数本の歯を失った方 多くの歯を失った方・総入れ歯の方
噛み心地 天然歯に近く違和感が少ない 通常の入れ歯より安定するが固定式には及ばない
見た目 非常に自然で審美性が高い 義歯の設計によって多少違和感が出る場合がある
お手入れ 天然歯と同様に歯磨きを行い、定期メンテナンスが必要 取り外して洗浄できるため清潔を保ちやすい
メンテナンス 歯科医院で上部構造を外して点検することがある ご自身で毎日着脱・清掃を行う
費用の目安 比較的高額になることが多い 固定式より費用を抑えられる場合が多い
主なメリット 見た目・噛む力・装着感に優れる 少ない本数のインプラントで多くの歯を支えられる
主なデメリット 治療費が高くなることがある 入れ歯の着脱に慣れが必要

固定式と可撤式のどちらが適しているかは、失った歯の本数、顎の骨の状態、ライフスタイル、ご予算などによって異なります。担当の歯科医師と相談し、ご自身に合った治療方法を選ぶことが大切です。

上部構造(人工歯冠)の材料と特徴

インプラント治療では上部構造にあたる人工歯冠の選び方も大切です。上部構造の種類と特徴をご説明します。

セラミック

審美性と強度に優れているため、インプラントの上部構造として良く使われている材質です。金属を使用しないオールセラミックは金属アレルギーの心配がありません。強度を増すために内側を金属で補強して、その上にセラミックを盛ったものは、インプラントブリッジなどに適しています。

ジルコニア

かつては人工ダイヤといわれ高密度で耐熱性を持つセラミックの一種です。オールセラミックの5倍ほどの強度があり、セラミックよりも高価な材質です。セラミックと同様に金属を使用しないため金属アレルギーの心配がありません。

以前はオールセラミックに比べると透明度が低く、歯としては白すぎて不自然に見えるという欠点がありましたが、最近では色の選択肢が増えて透明度の高いジルコニアも開発されました。そのため現在では前歯として使用するには一番美しい材質で、人気が高まっています。

ハイブリットセラミック

セラミックとレジン(樹脂)を混合した材質でできています。色調・強度共に健康保険適用のレジンと比べて優れています。金属を一切使用しないものと、内側を金属で補強してその上にハイブリットレジンを盛る場合があります。後者はインプラントブリッジなどに適しています。

インプラントの上部構造の種類と特徴に関するQ&A

Q1. インプラントの上部構造とは何ですか?

上部構造とは、インプラントの上に装着する人工の歯(かぶせ物)のことです。実際に見える部分で、噛む機能や見た目を担っています。患者さんのお口の状態に合わせて種類や素材を選択します。

Q2. 固定式と取り外し式ではどちらがおすすめですか?

少ない本数の歯を失った場合は、天然歯に近い噛み心地が得られる固定式が選ばれることが多いです。一方、多くの歯を失った方には、費用やお手入れのしやすさを考慮して取り外し式(オーバーデンチャー)が適している場合があります。

Q3. 上部構造の素材はどれを選べばよいですか?

見た目を重視する場合はセラミックやジルコニアが人気です。特にジルコニアは強度が高く奥歯にも適しています。費用や噛む力なども考慮し、歯科医師と相談して選ぶことが大切です。

Q4. インプラントの上部構造は交換が必要になりますか?

適切なメンテナンスを続ければ長期間使用できますが、摩耗や破損、噛み合わせの変化などにより修理や交換が必要になることがあります。定期健診を受けることで異常を早期に発見できます。

Q5. 上部構造のお手入れ方法は天然歯と同じですか?

基本的には天然歯と同じように毎日の歯磨きが必要です。ただし、インプラント周囲炎を防ぐため、歯間ブラシやデンタルフロスも併用し、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが重要です。

まとめ

最近の上部構造の傾向としては、ジルコニアやセラミックが良く使われ、金などの貴金属はあまり使われなくなってきています。

インプラントの上部構造は、患者さんのご希望や予算に加えて機能性や清掃性なども十分に考慮して、担当医と患者さんが相談しながら選択・決定します。

関連ページ:なんばクローバー歯科のインプラント治療