矯正歯科

八重歯の原因と治療方法について

八重歯の原因と治療方法について

八重歯は日本人によく見られる不正咬合です。八重歯の主な原因と効果的な治療法についてご説明します。

八重歯とはどのような不正咬合か

八重歯

八重歯(やえば)とは、一般的に前歯が通常の歯並びよりも突出している状態で、主に上顎の犬歯が歯列から飛び出して他の歯よりも前に出ている場合のことをいいます。

日本には「八重歯」が特に可愛らしいとされる文化的な価値観も存在し、一部の人々には魅力的な特徴とされています。

八重歯の特徴

  • 歯列から突出している・・八重歯は他の歯よりも前方に突出していることが多いです。出っ歯とは違い、特定の歯のみが歯列から大きくはみ出ている状態です。
  • 見た目の印象・・八重歯は笑った時に特に目立ちやすく、その人の印象を大きく左右することがあります。日本では八重歯がチャームポイントと感じる風潮がありますが、海外では八重歯は悪い歯並びであり、整った歯並びが好まれます。

八重歯の原因

八重歯の原因の代表的なものは以下の4つです。

  1. 顎が小さい
  2. 最後に生える歯のスペースが足りない
  3. 現代の柔らかいもの中心の食生活
  4. 遺伝

1. 顎が小さい

八重歯は、顎のサイズが小さいことが一因とされています。顎が小さいと、歯が並ぶためのスペースが不足し、歯が前に出てしまうことがあります。これは遺伝的要因による場合が多いですが、食生活の変化などが顎の発育に影響を与えることもあります。

2. 最後に生える歯のスペースが足りない

他の歯よりも遅く生えてくる歯は、生えてくるためのスペースが不足して歯列から押し出されて生えてくる場合があります。特に上の前歯に八重歯が多くみられます。

永久歯の生える順序

口内には最終的に28本から32本(親知らずを含む)の永久歯が生えます。通常、永久歯は6歳頃から生え始め、12歳から13歳頃にほとんどの永久歯が生え揃います。

しかし、この順序は必ずしも一定ではなく、特に前歯の生える順序には個人差がありますので、この差が八重歯の形成に影響を与えることがあります。

歯が生えるためのスペースの問題

永久歯は、乳歯が抜けた後のスペースに生えてきますが、顎の成長が十分でなかったり、先に生えた歯によって殆どスペースが取られてしまったりすると、後から生える歯にはまっすぐに生えるための十分なスペースが残されていないことがあります。

特に、上顎の前歯は他の歯よりも目立つ位置にあるため、スペースが不足すると歯列から飛び出して出っ歯やガタガタになりやすくなります。

特定の歯の生えるタイミング

八重歯が起こりやすい上顎の前歯の生える順番は、一般的に中央の切歯が最初に生え、次に隣の側切歯、その後に犬歯が生える順序です。

しかし、歯が生える順番には若干個人差があります。生える順序が変わったり、または遅れて生えた歯があると、既に生えている歯が空いているスペースを占めてしまい、後から生える歯のためのスペースが足りなくなります。

歯が生えるスペースが足りない場合は、後から生える歯が適切な位置に収まらず、前方に押し出されることがあります。これが八重歯の形成に繋がります。

八重歯の影響

このように、スペースが不足しているところに歯が生えてくる場合には、歯が正常な位置に生えることが出来ず、八重歯になってしまうことがあります。

八重歯になると、見た目の問題だけでなく、噛み合わせにも問題が起こり、口腔内に他の健康問題を引き起こす可能性もあります。

そのため、適切な時期に矯正治療を行うことが治療方法となります。

3. 現代の柔らかいもの中心の食生活

現代人の食生活は柔らかい食べ物が多いため、顎が充分に発育することが少なく、顎が小さくなりがちです。これが八重歯の形成につながる可能性があります。

4. 遺伝

家族に八重歯の人が多い場合、遺伝的に顎の形や大きさが八重歯を形成しやすくなっている可能性があります。

八重歯の治療方法

八重歯の多くは矯正治療によって改善することが可能です。矯正治療は、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正によって歯を徐々に移動させ、適切な位置に調整します。

八重歯の場合は小臼歯を抜歯してから歯に矯正装置を付けるケースが多いです。

  1. ワイヤー矯正
  2. 裏側矯正
  3. マウスピース矯正

1. ワイヤー矯正

ホワイトワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、ブラケットという小さな装置を歯の表面に接着し、そこにワイヤーを通して歯全体に力をかけ、正しい位置に歯を動かしていく治療方法です。

ワイヤー矯正は殆どの不正咬合に対応することができ、矯正治療の中では比較的安い費用で治療を行うことができるメリットがあります。

喋ったり笑ったりするとブラケットやワイヤーが他人に見えてしまうデメリットがありますが、白いセラミックのブラケットとホワイトワイヤーを使うとあまり目立ちません。(※ホワイトワイヤーは別料金となります)

しかし、矯正装置に食べ物がひっかかりやすくなってしまうため、慣れるまでは歯磨きが難しいことから、虫歯や歯周病のリスクが高くなり注意が必要です。また、一か月に一度ワイヤーの調整を行う必要があり、2~3日の間は少し痛みを感じる方が多いです。

2. 裏側矯正(舌側矯正)

裏側矯正インコグニト

裏側矯正とは、ワイヤー矯正のブラケットとワイヤーを歯の裏側に付けて、矯正器具を目立たないようにする治療方法のことをいいます。裏側矯正は出っ歯の治療に特に適しており、より効果的に後ろに引っ張ることができます。

歯の裏側にブラケットやワイヤーを付けることによって、常に唾液を循環させることができるため、食べかすを洗い流してくれたり、唾液の殺菌作用によって虫歯になりにくいメリットもあります。しかし、装置が見えないために、歯磨きの時には小さなデンタルミラーを使うなど、慣れるまでは少し工夫が必要です。

また、舌の動きが制限されるため、発音がしにくくなる音があります。

3. マウスピース矯正

インビザラインマウスピース インビザライン

マウスピース矯正とは、透明なマウスピース(アライナー)を歯に装着して7~10日程度で新しいマウスピースに付け替え、マウスピースの形に歯を動かしていく矯正治療です。当院ではインビザラインを取り扱っております。

マウスピースは少しずつ形状が異なっており、1枚のマウスピースで歯を0.25mm程度動かします。治療終了までに何枚必要かは、どの程度の不正咬合であるかによって決まります。

しかし、重度の不正咬合や抜歯矯正の場合はほかの矯正装置での治療が推奨されます。八重歯の場合はワイヤー矯正での治療になるケースが多いです。

【動画】八重歯の原因と治し方

まとめ

八重歯は見た目の問題だけでなく、噛み合わせや口腔内の健康にも影響を与えることがあります。八重歯を放置せず、適切な時期に専門の歯科医と相談し、適切な治療を受けることが重要です。八重歯の治療は、歯並びを整えて美しく見せるだけでなく、健康的な口内環境を整えるためにも役立ちます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック