スポーツをする時にマウスピースを付けたままで大丈夫?
競技の種類によって「付けてOK」「外した方が安全」が分かれます。マウスピース矯正(インビザラインなど)のアライナーはとても薄く、普段の生活ではほとんど違和感なく過ごせます。しかし、スポーツとなると事情が少し変わります。
衝撃の有無、口を強く噛みしめる動作、転倒のリスクなど、競技ごとの特性を踏まえて判断する必要があります。
この記事はこんな方に向いています
- スポーツを日常的に行いつつ矯正したい方
- 子どもの部活でアライナーを付けていいか迷っている保護者の方
- 競技特性をふまえた矯正の工夫を知りたい方
- マウスガードとアライナー、どちらが安全か知りたい方
この記事を読むとわかること
- どのスポーツは「付けたまま」で問題ないのか
- 危険が増えるスポーツでは、なぜ外すべきなのか
- 外す場合の正しい保管方法
- スポーツマウスガードとアライナーの違い
- スポーツと矯正を両立させるためのポイント
目次
スポーツをするときにマウスピースを付けたままで本当に大丈夫?
アライナーは普段の生活では問題なく装着できますが、スポーツでは「衝突・転倒・強く噛みしめる動作」が加わるため、競技によって適切な対応が異なります。
非接触スポーツでは付けたままでも支障が少ないことが多い一方、接触のある競技やボールが顔に当たりやすい競技では、アライナーの破損や口内のケガにつながる可能性が上がります。
スポーツの種類に応じて「装着」と「取り外し」を使い分ける必要があります。
どんなスポーツならマウスピースを付けたままでも安全にできる?
衝撃や転倒が少ないスポーツではアライナーの装着は問題ありません。アライナーは透明で薄く、呼吸や動きの妨げになりにくいため、治療の進行を止めずに運動できます。
アライナーは1日22時間以上の装着が基本のため、外す必要のないスポーツは矯正計画の遅れを防ぐ点でもメリットがあります。
非接触スポーツは基本的に装着したままでOKです。
アライナー装着したままで行いやすいスポーツ一覧
- ランニング・ジョギング
→ 衝突リスクが少なく、口元のケガにつながる動作がほとんどありません。 - ウォーキング・ハイキング
→ 呼吸が乱れにくく、アライナーが外れる心配もほとんどありません。 - ヨガ・ピラティス
→ 瞬発的な力をかける動作が少なく、アライナーへの負荷が非常に小さい競技です。 - 筋トレ(軽度〜中等度)
→ 強い噛みしめ癖がある人は慎重に判断が必要ですが、一般的なフィ → ットネスレベルなら装着のままで問題ありません。 - サイクリング(街乗り〜軽い運動)
→ 衝突リスクが低い場面では装着可能です。
これらの競技は、いずれも「衝撃」「転倒」「強い噛みしめ」をほとんど伴わないため、アライナーにダメージが生じにくいという共通点があります。
アライナーは薄くて割れやすい素材ですが、衝撃・圧力・強い噛み込みが無ければ問題ありません。非接触スポーツはその条件を満たしやすく、安全に矯正を継続できます。
どんなスポーツはアライナーを外した方がいいの?
衝突・転倒・口元への打撃が起こりやすいスポーツはアライナーを付けたまま行うと破損やケガにつながります。アライナーは歯を動かすための医療装置であり「衝撃から歯を守る」ものではありません。
接触スポーツでは、アライナーではなく専用のスポーツマウスガードを使用した方が安全です。
接触競技ではアライナーを外すのが基本です。
アライナーを外すべきスポーツの例
- サッカー
→ 肘・膝・ヘディングによる衝突が多く、顔面への打撃リスクが大きい。 - バスケットボール
→ 手や肘が顔に当たりやすいスポーツの代表。 - 格闘技(ボクシング・空手・柔道など)
→ アライナーが割れる、歯を傷める、口腔内を切るなどのリスクが高い。 - ラグビー・アメフト
→ 全身接触が避けられないスポーツで、アライナーでは歯を守れません。 - 野球(特に内野)
→ バウンドしたボールが顔に当たるリスクあり。 - バレーボール
→ ブロック時に手が顔にあたりやすい。
これらの競技は、「顔への偶発的な衝突」が付きものです。
アライナーはあくまで治療用であり、衝撃を吸収する設計にはなっていません。
接触スポーツでは、安全性の観点からアライナーを外し、スポーツ用マウスガードで歯を守ることが最適な選択になります。
スポーツのときにアライナーを外す場合、どう管理すればいい?
アライナーを外す場合は、「紛失」「破損」「衛生状態の悪化」を避けるため、保管方法や持ち物を整えることが重要です。
特に運動中は汗やほこりが付きやすいため、保管ケースの選び方や管理方法に少し工夫が必要です。
外すなら、ケース管理と衛生対策は必須です。
アライナーを外すときの注意点
- 専用ケースに入れる
→ ポケットにそのまま入れると変形や破損の原因になります。 - 直射日光の当たる場所に置かない
→ アライナーは熱に弱く、車内や屋外で変形することがあります。 - 汗・埃が多い場所ではビニール袋を併用
→ ケースごと袋に入れておくと衛生的です。 - 紛失防止のため「明るい色のケース」を使う
→ 透明ケースはスポーツバッグ内で埋もれやすい点に注意が必要です。
アライナーは繊細な医療装置です。スポーツ中は特に環境が不安定になるため、保管管理を習慣化するほどトラブルが減ります。
スポーツ中にアライナーを傷つけないための予防策は?
運動中は無意識に食いしばりが強くなることがあります。強い噛みしめはアライナーの変形・亀裂・浮きにつながるため、競技特性や自分の癖を理解して予防策を取ることが重要です。
噛み込み・衝撃・乱れた呼吸がアライナー破損の主な原因です。
アライナー破損を避けるためのポイント
- 強い噛みしめ癖がある人は無理しない
→ 運動中は身体を支えるために咬筋を使いやすく、アライナーが破損しやすくなります。 - チューイーの過剰使用を避ける
→ スポーツ前に強く噛みすぎるとアライナーが過度に負荷を受けます。 - スポーツ後はアライナーを洗浄してから装着
→ 汗や細菌が付着すると口腔環境が悪化しやすいためです。
アライナーの耐久性は限られており、使用者の癖やスポーツ中の筋活動によっても状態が変わります。自分の噛み癖を理解して運動することで、トラブルを大きく減らせます。
矯正中でもスポーツ用マウスガードは作れるの?
矯正中でもスポーツマウスガードの製作は可能です。ただし歯が動く時期は形が変わりやすいため、定期的な調整や作り直しが必要。競技レベルによって最適な作り方が異なるため、歯科医院に相談すると安全性が高まります。
矯正中でも作れるが調整が必要。
スポーツマウスガードとアライナーの違い
| 項目 | アライナー | スポーツマウスガード |
|---|---|---|
| 目的 | 歯を動かす | 歯を守る |
| 衝撃吸収性 | 低い | 高い |
| 装着の強度 | 軽い | しっかり固定 |
| 矯正との相性 | 高い | 動的治療中は調整が必要 |
| 適した場面 | 日常・非接触スポーツ | 接触スポーツ全般 |
アライナーは歯を守る目的では作られていません。競技の安全性を優先するなら、スポーツマウスガードとの併用を前提に考えることが大切です。
まとめ
スポーツとアライナーの両立で知っておきたいポイントは?
スポーツと矯正は対立するものではなく、競技の特性に応じて使い分けることで十分に両立できます。
特にスポーツ習慣がある患者さんは、カウンセリングの段階で「どんな競技をしているか」「頻度はどれくらいか」を歯科医院に共有することが安全性の向上につながります。
スポーツとアライナーは賢く使い分ければ両立できます。
スポーツと矯正治療を両立させるためには、単に「外す・付ける」だけでなく、生活スタイルと競技特性の把握が重要です。歯を動かす力はとても繊細で、過剰な圧力や衝撃は治療計画を乱す原因になります。一方で、スポーツは身体の健康を支える大切な習慣でもあります。
アスリートの口腔環境は、全身のパフォーマンスにも影響すると考えられており、歯科領域では「噛み合わせと身体能力の関係」への注目が高まっています。
単なる矯正ではなく、“身体全体の動き”の中での口元を考える視点こそ、これからの予防歯科に求められる姿勢です。患者さんの競技に合わせた治療計画を作ることは、医院の姿勢や価値観を伝えることにもつながります。
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