歯と口のトラブル

急な歯痛の対処法と早めの受診ポイント 痛みの原因を知ろう

急な歯痛の対処法と早めの受診ポイント

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

急に歯が痛くなったとき、どうすればいい?

まずは応急的に痛みを和らげ、できるだけ早めに歯科医院を受診することが大切です。

急な歯痛は、夜間や休日など「すぐに歯医者へ行けない」タイミングで起こりやすいものです。しかし、放置すると症状が悪化し、治療が長引いたり、神経や顎骨にまで炎症が広がることもあります。

この記事では、「応急的な痛みの対処法」から「早めの受診が必要なサイン」までを、わかりやすく解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 突然歯がズキズキ痛み、どうすればいいか分からない方
  • 応急処置をしても痛みが治まらない方
  • 受診のタイミングを迷っている方

この記事を読むとわかること

  1. 急な歯痛の主な原因とメカニズム
  2. 自宅でできる応急処置の方法
  3. 痛みを悪化させないための注意点
  4. 早めに歯科を受診すべき症状の見分け方
  5. 歯痛を防ぐための予防習慣

 

なぜ急に歯が痛くなるの?その原因とは?

急な歯痛の原因は、虫歯の進行、歯周病、知覚過敏、歯の破折、歯根の炎症、親知らずの圧迫など多岐にわたります。これらは歯の内部や周囲の神経・組織に炎症を起こすことで強い痛みを生じます。原因を見極めずに鎮痛剤でごまかすと、症状を悪化させる恐れがあります。

急な歯痛の多くは、炎症や感染が原因です。自己判断せず、早めに歯科医院で原因を特定しましょう。

急に歯が痛くなる主な原因

虫歯の進行

虫歯が神経(歯髄)に達すると、ズキズキとした強い痛みが出ます。放置すると神経が壊死し、膿が溜まってさらに激痛になります。

歯周病(歯槽膿漏)

歯周ポケット内で細菌が繁殖し、歯を支える組織に炎症が起こると痛みや腫れが生じます。

知覚過敏

冷たいものや甘いものを食べたときにキーンとした痛みが出ます。歯のエナメル質がすり減ったり、歯ぐきが下がることが原因です。

歯根の炎症・膿

根の先に細菌感染が起き、膿が溜まることで噛んだときに痛みを感じます。

親知らずのトラブル

歯ぐきの奥で斜めや横向きに生えた親知らずが、周囲の歯や歯ぐきを圧迫して痛みを起こすことがあります。

これらはいずれも放置すれば自然に治ることはありません。痛みがある=歯や周囲組織のSOSサインと考え、原因を突き止めることが重要です。

自宅でできる急な歯痛の応急処置は?

歯痛が起きたときは、冷やす・清潔に保つ・鎮痛剤を適切に使う・刺激物を避けるなどの応急処置が効果的です。ただし、痛みの根本原因を治すことはできないため、あくまで一時的な対処に留めましょう。

応急処置で痛みを和らげつつ、必ず歯科を受診しましょう。

応急処置のポイント

患部を冷やす(外側から)

氷を直接当てず、タオルなどで包んで頬の外側から冷やします。炎症による腫れや痛みを一時的に軽減できます。

口内を清潔に保つ

食べかすや歯垢が刺激になる場合があります。痛みのない範囲で優しく歯磨きし、うがいをしましょう。

市販の鎮痛剤を使用する

我慢できない痛みには市販薬(イブプロフェンやアセトアミノフェンなど)を服用します。過剰摂取や長期使用は避けてください。

刺激物を控える

熱い飲食物やアルコール、甘いものは神経を刺激し、痛みを強めることがあります。

これらの方法は「一時しのぎ」にすぎません。痛みの原因を根本から取り除くには、早めの受診が不可欠です。

やってはいけない自己流の歯痛対処とは?

痛みを我慢したり、患部を押したり、自己判断で薬を使い続けると、症状を悪化させるリスクがあります。誤った処置は感染を広げ、抜歯が必要になるケースもあります。

痛みを隠すだけの自己流対処は危険です。原因を治療できるのは歯科医院だけです。

避けるべき行動

  1. 温める・マッサージする
    → 血流が増えて炎症が悪化する可能性があります。冷やす方が効果的です。
  2. 歯ぐきを押す・患部を触る
    → 感染が広がる原因になります。清潔に保ち、安静を保ちましょう。
  3. 鎮痛剤を飲み続ける
    → 一時的に痛みを和らげても、原因が治るわけではありません。
  4. 古い薬や湿布薬を使用する
    → 口腔内の粘膜はデリケートです。市販の外用薬を誤用するとやけどや炎症を起こすこともあります。

痛みを抑える行動がかえって炎症の進行を助長することもあるため、正しい知識で応急処置を行うことが大切です。

どんな症状が出たら早めに歯科を受診すべき?

強い痛みや腫れ、熱感、顎の違和感、膿が出るなどの症状は、感染が進んでいる可能性があります。これらを放置すると、歯を失うリスクや全身への影響も出るため、早めの受診が必要です。

「我慢できない」「腫れた」「噛めない」ときは、すぐに歯科へ行きましょう。

早めの受診が必要なサイン

症状 考えられる疾患 受診の目安
ズキズキする強い痛み 虫歯の神経炎症・根尖性歯周炎 当日~翌日
歯ぐきが腫れている 歯周病・膿瘍 早急に
顎や顔が腫れている 感染の拡大 即日
冷たい・熱いもので痛む 知覚過敏・虫歯 数日以内
噛むと痛む 歯根の炎症・亀裂 早めに

痛みが落ち着いたからと放置すると、再び激痛がぶり返したり、歯を抜かざるを得ない事態にもなります。

「痛みが出たら早めに受診」が、結果的に治療期間と費用を最小限に抑える最善の方法です。

歯痛を放置するとどうなる?全身への影響もある?

歯痛の原因を放置すると、感染が広がり歯を失うだけでなく、顎骨炎や心疾患、糖尿病の悪化など全身に影響を及ぼすことがあります。早期治療は歯だけでなく健康全体を守るためにも必要です。

歯痛を放置すると、口の中だけでなく体全体に悪影響が及ぶことがあります。

歯の炎症が長引いた場合のリスク

  1. 歯の神経の壊死
    → 神経が死んでしまうと痛みはいったん引きますが、内部で感染が進みます。
  2. 顎骨の炎症(顎骨炎)
    → 細菌が骨にまで侵入し、腫れや発熱を伴います。
  3. 全身疾患の悪化
    → 歯周病菌が血流に入り、糖尿病や動脈硬化、心臓疾患の悪化を招くこともあります。

このように、歯痛を軽視すると命に関わる病気に発展することもあるのです。痛みがあるうちに早めの受診を心がけましょう。

歯痛を予防するために日頃からできることは?

日常的なケアで歯痛を防ぐことができます。正しい歯磨き、歯垢除去、定期的な歯科健診、バランスの良い食生活が基本です。特に、痛みがない時こそメンテナンスを行うことが大切です。

日常の習慣で歯痛は防げます。予防と早期発見が何よりの対処法です。

予防のための習慣

  1. 丁寧な歯磨き
    → 歯垢をしっかり除去し、虫歯や歯周病を防ぎます。
  2. フッ素入り歯磨き剤の使用
    → エナメル質を強化し、再石灰化を促します。
  3. 定期的な歯科健診
    → 痛みが出る前に異常を発見できます。
  4. バランスの取れた食事
    → 糖分の摂りすぎを防ぎ、歯の健康を保ちます。
  5. ストレスや食いしばりへの注意
    → 歯の根や顎に負担がかかると痛みが出やすくなります。

これらを習慣化することで、痛みが出る前にトラブルを防げます。
「痛くない今こそ通う」ことが、最も賢い歯の守り方です。

まとめ

痛みは体からの警告。早めの受診が最善の対処法

急な歯痛が起こったときは、応急処置で一時的に痛みをやわらげつつ、必ず早めに歯科を受診しましょう。痛みの裏には必ず原因があります。放置せずに治療すれば、歯の寿命を守ることができます。
「応急処置+早期受診」が、歯を守る最善策です。

項目 内容
応急処置 冷やす・清潔を保つ・鎮痛剤を正しく使う
避ける行為 温める・押す・薬を飲み続ける
受診の目安 強い痛み・腫れ・噛めないなどの症状
放置のリスク 歯の喪失・感染拡大・全身への悪影響
予防策 丁寧な歯磨き・定期健診・生活習慣の見直し
この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック