子どもの口呼吸が色んな病気の原因になるって本当?

高槻クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 髙野 祐

子どもの口呼吸は治した方がいい?

子どもの口呼吸が、必ず病気や不正咬合を引き起こすわけではありません。しかし、口呼吸が長く続くと、お口の乾燥、歯肉の炎症、歯並び、顎の成長、睡眠などに影響する可能性があります。

また、口呼吸そのものが原因なのではなく、アレルギー性鼻炎やアデノイド、扁桃肥大などによって鼻から呼吸しにくくなっている場合もあります。

大切なのは、子どもに「口を閉じなさい」と注意することではありません。なぜ鼻呼吸ができないのかを確かめることが、改善への第一歩です。

この記事を読むとわかること

  1. 子どもが口呼吸になる主な原因
  2. 家庭で確認できる口呼吸のサイン
  3. 口呼吸がお口や歯並びに与える影響
  4. 口呼吸と睡眠の関係
  5. 歯科と耳鼻咽喉科のどちらを受診するべきか
  6. 子どもの口呼吸を改善する方法
  7. 家庭でできる対策と注意点

 

子どもの口呼吸は治した方がいい?

口呼吸のデメリット

子どもの口呼吸は、風邪や一時的な鼻づまりによって起こることもあります。そのため、数日だけ口を開けているからといって、すぐに病気と判断する必要はありません。ただし、日中も睡眠中も口呼吸が続いている場合や、いびき、鼻づまり、食べにくさ、歯並びの問題などを伴う場合は、原因を調べることが大切です。

一時的な口呼吸は珍しくありませんが、慢性的に続く場合は原因を確認しましょう。

鼻には、吸い込んだ空気に含まれるほこりなどを取り除き、空気を温めて加湿する働きがあります。鼻呼吸ができていると、乾いた空気がそのまま喉へ入りにくくなります。

一方、口呼吸では空気が直接お口を通るため、お口や喉が乾燥しやすくなります。口を開けた状態が続くと、唾液が前歯や歯肉の表面に行き渡りにくくなり、歯垢や歯肉の腫れなどが見られることがあります。

日本歯科医師会が紹介している国内調査では、3~12歳の子どもの30.7%に、唇を自然に閉じにくい「口唇閉鎖不全」が見られたと報告されています。詳しくは、日本歯科医師会「数字でみる歯のはなし」をご覧ください。

ただし、「お口ぽかん」と口呼吸は完全に同じものではありません。口が開いていても鼻で呼吸している子どももいるため、見た目だけで判断しないことが重要です。

口呼吸について確認したいのは、次のような場合です。

  1. 日中も頻繁に口が開いている
  2. 毎晩のように口を開けて眠っている
  3. 鼻づまりや鼻声が続いている
  4. 大きないびきをかく
  5. 唇を閉じようとすると苦しそうにする
  6. 食事中に息継ぎが多い
  7. 歯並びや噛み合わせが気になる

これらのサインがある場合、単なる癖ではなく、鼻や喉、お口の機能、歯並びなどに原因があるかもしれません。

口呼吸を無理に止めるのではなく、原因を3つの方向から確認することが重要です。

  1. 鼻や喉など、空気の通り道に問題がないか
  2. 舌や唇など、お口の機能に問題がないか
  3. 歯並びや顎の形によって口を閉じにくくないか

この3方向から考えると、必要な受診先や対策を判断しやすくなります。

子どもが口呼吸になる原因は?

子どもの口呼吸は、単なる癖だけでなく、アレルギー性鼻炎、鼻づまり、アデノイドや扁桃の肥大、舌や唇の機能、歯並びなど、さまざまな原因で起こります。複数の原因が重なっていることもあるため、見た目だけで判断せず、鼻・お口の機能・歯並びを総合的に確認する必要があります。

口呼吸の原因は、鼻や喉、お口の機能、歯並びの3つに大きく分けられます。

鼻や喉に原因がある場合

鼻が詰まっている子どもは、呼吸するために口を開けます。

主な原因として、次のようなものがあります。

  1. アレルギー性鼻炎
    → ハウスダストや花粉などによって鼻の粘膜が腫れ、鼻から空気を通しにくくなります。
  2. 慢性的な鼻づまりや副鼻腔炎
    → 鼻水や鼻づまりが長く続き、習慣的に口で息をするようになることがあります。
  3. アデノイド肥大
    → 鼻の奥にあるアデノイドが大きくなり、空気の通り道が狭くなることがあります。
  4. 扁桃肥大
    → 喉の奥にある扁桃が大きいと、睡眠中に息が通りにくくなり、口呼吸やいびきにつながることがあります。
  5. 鼻の構造上の問題
    → 鼻中隔の形などによって、片側または両側の鼻が通りにくいケースもあります。

日本歯科医師会も、鼻アレルギー、鼻中隔の問題、アデノイドや扁桃肥大などを、口呼吸に関係する原因として挙げています。

鼻が通っていない子どもに「口を閉じなさい」と繰り返しても、鼻呼吸へ切り替えることは難しいでしょう。まず、鼻や喉に問題がないかを確認する必要があります。

舌や唇など、お口の機能に原因がある場合

鼻の通りに大きな問題がなくても、唇を閉じる力や舌の使い方が十分に育っていないため、口が開いてしまうことがあります。

例えば、次のような状態です。

  • 唇を自然に閉じにくい
  • 舌がいつも下の前歯の近くにある
  • 飲み込むときに舌が前へ出る
  • 食べ物をうまく噛めない
  • 食べこぼしが多い
  • 硬いものを嫌がる
  • 発音が不明瞭に感じられる

年齢に応じた「食べる」「話す」などのお口の機能が十分に育っていない状態は、口腔機能発達不全症と診断される場合があります。詳しくは、厚生労働省「年代別にやるべき予防とお口のケア」をご覧ください。

ただし、年齢によってできることには差があります。食べ方や舌の動きが気になるからといって、必ず病気というわけではありません。発達段階を踏まえて評価することが大切です。

歯並びや顎の形が関係する場合

前歯が大きく前方へ出ていると、唇を自然に閉じにくくなります。また、上顎が狭い場合や前歯が噛み合わない場合にも、口が開きやすくなることがあります。

考えられる状態には、次のようなものがあります。

  • 上顎前突、いわゆる出っ歯
  • 前歯が噛み合わない開咬
  • 上顎の歯列が狭い状態
  • 奥歯が左右にずれて噛み合う交叉咬合
  • 下顎が後方に位置している状態
  • 歯のガタガタが強い状態

口呼吸が歯並びに影響する場合もありますが、反対に、歯並びによって口を閉じにくくなり、口呼吸につながることもあります。

つまり、口呼吸と歯並びは、どちらか一方だけが原因とは限りません。互いに影響し合う可能性があるため、成長や鼻の状態も含めて確認する必要があります。

口呼吸の原因は一つとは限りません。以下の表を参考に、どのようなサインが見られるか、家庭で確認してみましょう。

考えられる原因 見られやすいサイン 主な相談先
アレルギー性鼻炎 鼻水、くしゃみ、鼻づまり、鼻声 耳鼻咽喉科
アデノイド・扁桃肥大 いびき、寝苦しさ、口を開けて眠る 耳鼻咽喉科・小児科
唇を閉じる力の弱さ 日中も口が開く、唇が乾燥する 歯科・小児歯科
舌や飲み込み方の問題 食べこぼし、舌が前へ出る、発音の問題 歯科・小児歯科
歯並び・顎の形 出っ歯、開咬、上顎が狭い 矯正歯科
複数の原因 鼻づまりと歯並びの問題が両方ある 耳鼻咽喉科と歯科の連携

鼻の問題とお口の問題が同時に見られるケースも珍しくありません。歯科だけ、耳鼻咽喉科だけで考えるのではなく、必要に応じて複数の診療科で確認することが、改善への近道になります。

口呼吸かどうかは家庭で判断できる?

家庭での観察によって、口呼吸を疑うサインを見つけることはできます。ただし、口が開いているだけで口呼吸と断定することはできません。日中、食事中、睡眠中、起床時など、複数の場面を観察することが大切です。

一場面だけで判断せず、日中・食事中・睡眠中の様子を確認しましょう。

家庭で確認しやすいのは、子どもが無意識に過ごしているときです。テレビを見ているとき、ゲームや読書に集中しているとき、眠っているときなどに、唇が開いていないか確認しましょう。

日中に見られやすいサイン

  • 何もしていないときに口が開いている
  • テレビやゲーム中に口が開く
  • 唇が乾燥している
  • 鼻声が続いている
  • 口臭が気になる
  • 鼻で息をすると苦しそうにする
  • 前歯がいつも乾いている

食事中に見られやすいサイン

  • 食事中に頻繁に口を開けて息をする
  • くちゃくちゃと音を立てる
  • 食べ物をこぼしやすい
  • 食べ終わるまでに時間がかかる
  • よく噛まずに飲み込む
  • 硬い食べ物を嫌がる
  • 飲み物で流し込むことが多い

睡眠中に見られやすいサイン

  • 口を開けたまま眠っている
  • いびきをかく
  • 寝相が激しい
  • 息苦しそうに体を動かす
  • 寝汗が多い
  • 夜中に何度も目を覚ます
  • 呼吸が止まるように見える

起床時や日中の体調に現れるサイン

  • 朝起きると口や喉が乾いている
  • 朝の機嫌が悪い
  • 起きるのに時間がかかる
  • 日中に眠そうにしている
  • 集中しにくそうに見える
  • 頭痛を訴えることがある

これらが一つ当てはまるだけで、慢性的な口呼吸とは限りません。

ただし、複数のサインが毎日のように続く場合や、睡眠中に呼吸が止まるように見える場合は、早めの相談をおすすめします。

口呼吸のサインは、時間帯によって異なります。次の表を使って、気になる様子がいつ見られるかを整理しておくと、受診時の説明にも役立ちます。

確認する場面 主なサイン 確認のポイント
日中 お口ぽかん、唇の乾燥、鼻声 集中しているときの表情を見る
食事中 音を立てる、食べこぼす、時間がかかる 噛み方や息継ぎを確認する
睡眠中 いびき、開口、寝汗、苦しそうな呼吸 数分程度の動画を撮っておく
起床時 口の乾燥、喉の違和感、機嫌が悪い 毎朝続いているか確認する
お口の中 歯垢、歯肉の赤み、前歯の乾燥 上の前歯周辺を確認する

受診前に、いびきや睡眠中の呼吸を動画で記録しておくと、診察時の手がかりになります。ただし、保護者の方が撮影した動画だけで診断できるわけではありません。症状の頻度や鼻の状態、お口の中の状態などを合わせて評価します。

口呼吸はお口の健康にどう影響する?

口呼吸の子のお口の特徴

口呼吸が続くと、お口の中が乾燥しやすくなります。唾液がお口全体に行き渡りにくくなるため、歯垢が残る、歯肉が腫れる、口臭が気になるなどの問題につながる可能性があります。ただし、口呼吸だけで必ず虫歯になるわけではありません。

口呼吸ではお口が乾燥し、歯垢や歯肉の炎症が起こりやすくなることがあります。

唾液には、食べかすや細菌を洗い流し、お口の中の酸を中和する働きがあります。また、酸によって溶け始めた歯の表面を修復する「再石灰化」も助けています。口を開けたまま呼吸すると、唾液が蒸発しやすくなり、特に上の前歯とその周囲の歯肉が乾燥します。

その結果、次のような変化が見られることがあります。

  • 前歯の周りに歯垢が付きやすい
  • 歯肉が赤く腫れる
  • 歯磨きのときに出血する
  • 唇が乾いて切れやすい
  • 口臭が気になる
  • 喉が乾燥しやすい
  • 朝起きたときに口がねばつく

日本歯科医師会も、お口ぽかんや口呼吸では口内が乾燥しやすく、虫歯や歯周病のリスクに影響すると説明しています。

ただし、「口呼吸をしているから虫歯になる」と単純には言い切れません。虫歯には、歯磨きの状態、食事や間食の回数、フッ素の使用、歯の質、唾液の量など、複数の要因が関係します。

口呼吸は、そのうちの一つとしてお口の乾燥に関係する可能性がある、と考えるのが適切です。

口呼吸は歯並びや顎の成長に影響する?

慢性的な口呼吸は、舌、唇、頬の筋肉のバランスや顎の成長方向に関係し、不正咬合と関連する可能性があります。ただし、歯並びには遺伝、顎の大きさ、指しゃぶり、舌の癖など多くの要因が関係するため、口呼吸だけが原因とは限りません。

口呼吸は不正咬合と関連しますが、歯並びを決める唯一の原因ではありません。

鼻呼吸をして唇を自然に閉じているとき、舌は上顎に広く触れているのが望ましい状態です。

一方、口から息をするには、舌を低い位置へ下げて空気の通り道を確保する必要があります。舌が低い位置にある状態が長く続くと、上顎、歯、唇、頬にかかる力のバランスが変化します。そのため、成長期の歯並びや顎の形に影響する可能性があります。

口呼吸の子どもでは、次のような不正咬合との関連が報告されています。

  1. 上の前歯が前方へ出る上顎前突
  2. 前歯が噛み合わない開咬
  3. 上顎の歯列が狭い状態
  4. 奥歯が左右にずれて噛み合う交叉咬合
  5. 下顎が後方へ位置する傾向
  6. 顔が縦方向に成長する傾向

子どもの口呼吸と顔面骨格、不正咬合との関連を調べた系統的レビューでも、一定の関連が示されています。ただし、研究ごとに口呼吸の診断方法や対象となる子どもが異なるため、口呼吸だけで歯並びの変化を説明することはできません。

歯並びには、次のような要素も関係します。

  1. 両親から受け継いだ顎や歯の大きさ
  2. 顎の成長方向
  3. 指しゃぶり
  4. 舌で歯を押す癖
  5. 頬杖
  6. 乳歯の虫歯や早期喪失
  7. 永久歯が生える位置
  8. 食べ方や噛み方

したがって、「口呼吸を治せば歯並びも自然に治る」とは限りません。

鼻呼吸へ改善した後も不正咬合が残っている場合は、矯正治療が必要になることがあります。反対に、前歯が出ていて唇を閉じられない場合は、矯正治療によって口を閉じやすくなるケースもあります。

口呼吸や舌の癖など、お口周囲の筋肉の使い方は、不正咬合と関連することがあります。詳しくは、日本歯科医師会「口腔習癖(指しゃぶりなど)」をご覧ください。

口呼吸は睡眠や日中の様子にも関係する?

口呼吸といびきが続く子どもでは、睡眠中に空気の通り道が狭くなっている可能性があります。睡眠の質が低下すると、朝起きにくい、日中眠そうにする、集中しにくいなどの様子が見られることがあります。ただし、これらの症状だけで睡眠時無呼吸と診断することはできません。

口呼吸に大きないびきや呼吸停止が伴う場合は、睡眠の問題も確認しましょう。

眠っているときに口を開ける、大きないびきをかく、苦しそうに体を動かす場合は、睡眠中に空気の通り道が狭くなっている可能性があります。

特にアデノイドや扁桃が大きい子どもでは、睡眠中に呼吸が浅くなったり、一時的に止まったりすることがあります。

睡眠の質が低下すると、次のような様子が見られる場合があります。

  • 朝すっきり起きられない
  • 日中に眠そうにしている
  • 落ち着きがなく見える
  • 集中が続きにくい
  • 起床時に頭痛を訴える
  • 夜中に何度も目を覚ます
  • 寝汗が多い
  • おねしょが続いている
  • 学校や園でぼんやりしている

口呼吸は、小児の閉塞性睡眠時無呼吸に見られるサインの一つとして報告されています。ただし、口呼吸をしている子どもがすべて睡眠時無呼吸というわけではありません。診断には、医療機関での問診や検査が必要です。

毎晩のように大きないびきをかく、睡眠中に呼吸が止まる、胸やお腹を大きく動かして苦しそうに呼吸している場合は、早めに耳鼻咽喉科や小児科へ相談してください。

子どもの口呼吸は何科に相談する?

鼻づまりやいびきが目立つ場合は耳鼻咽喉科、舌や唇の使い方、歯肉、歯並びが気になる場合は歯科や小児歯科、顎の成長や不正咬合が気になる場合は矯正歯科が主な相談先です。複数の原因がある場合は、医科と歯科の連携が必要です。

鼻・喉は耳鼻咽喉科、お口の機能や歯並びは歯科へ相談しましょう。

耳鼻咽喉科への相談が適している場合

  • 鼻づまりが長く続く
  • 鼻水やくしゃみが多い
  • 鼻声が続いている
  • 大きないびきをかく
  • 睡眠中に呼吸が止まるように見える
  • 扁桃が大きいと言われた
  • 鼻から息をすると苦しそうにする

耳鼻咽喉科では、鼻炎、副鼻腔炎、アデノイド、扁桃など、空気の通り道に問題がないか確認します。

子どもの大きないびきや口呼吸には、鼻づまり、アデノイド肥大、扁桃肥大などが関係している場合があります。詳しくは、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「子どもの睡眠時無呼吸」をご覧ください。

歯科・小児歯科への相談が適している場合

  • 日中も口が開いている
  • 唇を閉じにくい
  • 食べこぼしが多い
  • 舌が前へ出る
  • 飲み込み方が気になる
  • 前歯や歯肉が乾燥している
  • 虫歯や歯肉の腫れが気になる
  • 発音や食べ方が気になる

歯科では、歯や歯肉だけでなく、舌や唇の動き、飲み込み方など、お口の機能も確認します。

矯正歯科への相談が適している場合

  • 出っ歯で唇を閉じにくい
  • 前歯が噛み合っていない
  • 上顎が狭い
  • 奥歯の噛み合わせが左右にずれている
  • 顎の成長が気になる
  • 永久歯の生え方が気になる

矯正歯科では、歯並びだけでなく、顎の骨の成長や口元の状態も確認します。

小児科への相談が適している場合

  • 成長や発達についても心配がある
  • 日中の眠気や集中力低下が目立つ
  • 体調不良を繰り返している
  • どの診療科へ行けばよいか分からない

最初の相談先に迷う場合は、かかりつけの小児科や歯科で相談し、必要な診療科を紹介してもらう方法もあります。

症状によって、適した相談先は異なります。一つの診療科ですべて解決しようとせず、原因に応じて連携することが重要です。

診療科 主に確認すること 相談したい症状
耳鼻咽喉科 鼻炎、鼻づまり、アデノイド、扁桃 鼻声、いびき、睡眠中の呼吸停止
小児歯科 歯、歯肉、舌、唇、食べ方 お口ぽかん、食べこぼし、口の乾燥
矯正歯科 歯並び、噛み合わせ、顎の成長 出っ歯、開咬、上顎が狭い
小児科 睡眠、成長、発達、全身状態 日中の眠気、体調、相談先が不明

鼻が詰まったまま、お口のトレーニングだけを行っても、鼻呼吸へ切り替えるのは難しい場合があります。

反対に、鼻の通りが改善しても、舌や唇の使い方が身についていなければ、口が開いた状態が残ることがあります。原因に合わせた順序で対応することが大切です。

子どもの口呼吸はどのように改善する?

口呼吸の改善方法は原因によって異なります。鼻や喉に問題がある場合は耳鼻咽喉科での治療、お口の機能に問題がある場合は舌や唇の訓練、不正咬合が関係する場合は矯正治療を検討します。一つの方法だけで改善しようとせず、必要な治療を組み合わせることが大切です。

鼻・お口の機能・歯並びのうち、原因となっている部分から改善します。

1. 鼻や喉の治療を行う

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などがある場合は、薬物療法や生活環境の見直しなどを行います。アデノイドや扁桃が大きく、睡眠や呼吸へ強い影響が出ている場合は、耳鼻咽喉科で詳しい検査を行い、治療方法を判断します。

鼻から十分に空気を吸えない状態では、口を閉じる練習を優先するべきではありません。

2. 舌や唇の機能を整える

鼻の通りに問題がない場合は、歯科で舌や唇の状態を確認します。

必要に応じて、次のような指導を行うことがあります。

  • 唇を閉じる練習
  • 舌を正しい位置へ置く練習
  • 正しい飲み込み方の練習
  • よく噛むための食事指導
  • 姿勢や食べ方の確認
  • 口腔筋機能療法

口腔筋機能療法は、舌や唇、頬など、お口周囲の筋肉を適切に使うための訓練です。

ただし、子どもの年齢や理解度によって内容は異なります。家庭で自己流の訓練を続けるより、歯科医師や歯科衛生士の指導を受ける方が安全です。

3. 歯並びや顎の問題を治療する

出っ歯、開咬、上顎の狭さなどが口の閉じにくさに関係している場合は、矯正治療を検討します。

成長期には、顎の発育を利用した装置を使う場合もあります。ただし、すべての子どもに同じ装置が必要なわけではありません。矯正治療を始める時期は、不正咬合の種類、永久歯の生え方、顎の成長などによって異なります。

また、矯正装置を使えば口呼吸が必ず治るわけではありません。鼻や喉に問題がある場合は、そちらへの対応も必要です。

家庭でできる対策と避けたい対応は?

家庭では、鼻づまりやいびきの記録、食べ方や姿勢の観察、歯磨き、室内の乾燥対策などができます。一方、鼻が通るか確認せずに口をテープで塞ぐことや、子どもを繰り返し叱ることは避けましょう。

家庭では観察と記録を行い、無理に口を閉じさせないことが大切です。

家庭でできること

  1. 鼻づまりの有無を確認する
    左右の鼻から息ができるか、鼻声や鼻水が続いていないかを確認します。
  2. 睡眠中の様子を記録する
    → 口の開き方、いびき、寝相、呼吸の様子を短い動画に残しておくと、診察時の参考になります。
  3. 食事中の様子を観察する
    → 食べこぼし、音、噛む回数、飲み込み方を確認します。
  4. 歯磨きとフッ素の使用を続ける
    → 口呼吸で乾燥しやすい子どもは、特に上の前歯周辺を丁寧に磨きましょう。
  5. 室内の乾燥を避ける
    → 適度な湿度を保ち、こまめに水分を取ることも大切です。
  6. 定期的に歯科健診を受ける
    → 虫歯や歯肉だけでなく、舌、唇、歯並びの変化も確認できます。

家庭で最も大切なのは、「口が開いていることを叱る」のではなく、どのような場面で口が開いているかを観察することです。本人が怠けているのではなく、鼻が苦しい、唇を閉じにくいなどの理由があるかもしれません。

避けたい対応

  • 鼻の通りを確認せずに口をテープで塞ぐ
  • 一日中「口を閉じなさい」と注意する
  • 市販の装置を自己判断で使う
  • 鼻づまりを放置したまま訓練を始める
  • 口呼吸をすべて歯並びのせいと決めつける
  • いびきや呼吸停止を成長すれば治ると放置する

特に子どもへの口テープは、鼻づまりや睡眠中の呼吸障害がある場合に危険を伴う可能性があります。使用を検討する場合は、先に医療機関で鼻から呼吸できる状態か確認してください。

口呼吸の治療期間・費用・通院回数はどのくらい?

口呼吸の治療期間や費用は、鼻炎、アデノイド、口腔機能、不正咬合など、原因によって大きく異なります。数回の指導で改善のきっかけをつかめる場合もあれば、矯正治療などで年単位の管理が必要になることもあります。

原因によって、数か月の指導から年単位の治療まで幅があります。

口呼吸には、すべての子どもに共通する治療期間はありません。鼻炎の治療、お口の機能訓練、矯正治療では、それぞれ期間や費用が異なります。

耳鼻咽喉科での治療

  • アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの治療は、症状に応じて通院します。
  • 薬で症状を管理する場合もあれば、季節や生活環境によって長期的な経過観察が必要になる場合もあります。
  • 保険適用となる診療については、年齢や所得、公費負担制度などに応じた自己負担が発生します。

歯科でのお口の機能訓練

  • 口腔機能発達不全症として保険診療の対象になる場合がありますが、検査内容や条件によって異なります。
  • 訓練は一度で完了するものではなく、歯科医院で方法を確認し、家庭でも継続する必要があります。
  • 数か月ごとに状態を評価しながら、内容を調整することがあります。

矯正治療

  • 一般的な不正咬合に対する矯正治療は、原則として自費診療です。
  • 子どもの矯正治療は、顎の成長や永久歯の生え替わりを確認しながら行うため、数年にわたることがあります。
  • 費用や通院頻度は、使用する装置、治療範囲、歯科医院によって異なります。

治療期間や通院回数は、原因ごとに考える必要があります。以下は一般的な考え方であり、実際の期間や費用は診察後に確認してください。

対応方法 主な対象 期間・通院の考え方 費用の扱い
耳鼻咽喉科での治療 鼻炎、鼻づまり、アデノイド、扁桃 症状に応じて数回~長期管理 保険診療となる場合が多い
歯科での機能評価 舌、唇、食べ方、飲み込み方 定期的に評価し、家庭で訓練 条件により保険適用
口腔筋機能療法 舌や唇の使い方 数か月以上継続する場合がある 医院や診断内容によって異なる
小児矯正 出っ歯、開咬、上顎の狭さ 成長や生え替わりに合わせて管理 一般的には自費診療
経過観察 症状が軽く成長を確認する場合 3~6か月ごとなどに確認 診療内容によって異なる

口呼吸の改善では、すぐに口を閉じられるようにすることだけが目標ではありません。鼻から無理なく呼吸でき、舌や唇を自然に使え、よく眠り、食事もしやすい状態を目指します。見た目だけで改善を判断せず、生活全体の変化を確認することが大切です。

まとめ

子供の口呼吸が病気の原因になることがあるの?の図解

子どもの口呼吸が、必ず病気や不正咬合の原因になるわけではありません。しかし、口呼吸が長く続くと、お口の乾燥、歯垢の付着、歯肉の腫れ、歯並び、顎の成長、睡眠などに影響する可能性があります。

口呼吸の原因は、大きく次の3つに分けて考えます。

  1. 鼻や喉など、空気の通り道の問題
  2. 舌や唇など、お口の機能の問題
  3. 歯並びや顎の形の問題

子どもの口が開いていると、つい「口を閉じなさい」と注意したくなるかもしれません。

しかし、鼻が詰まっている、唇を閉じにくい、舌をうまく使えないなど、本人の努力だけでは解決できない理由が隠れていることがあります。

大切なのは、口呼吸を無理に止めさせることではなく、なぜ鼻呼吸ができないのかを見つけることです。

鼻づまりやいびきがあれば耳鼻咽喉科へ、舌や唇、食べ方、歯並びが気になる場合は歯科へ相談しましょう。必要に応じて医科と歯科が連携し、子どもの成長に合った方法で改善を目指します。