審美歯科

セラミック治療で歯をたくさん削るのはなぜ?

セラミック治療で歯をたくさん削るのはなぜ?

セラミック治療って、なんでこんなに歯を削るの?

「セラミックって見た目がキレイって聞いたけど…」
「でも、そのために自分の歯をたくさん削るって、ちょっと怖いかも…」

そんなふうに感じる患者さん、多いです。
天然の歯はできれば削りたくないし、削ってしまったら元に戻らないことも知っているからこそ、「本当に必要なのかどうか」は慎重に判断したいところですよね。

でも、歯を多めに削る理由は「仕方なく」ではなく、むしろ「キレイに・長持ちさせるための重要なステップ」でもあるんです。
このコラムでは、なぜセラミック治療で歯を削る必要があるのか、その理由と対策をていねいに解説していきます🪄

削る量が多いことで起きるリスクとは?

セラミッククラウン

まず押さえておきたいのは、「歯を削ることにはメリットもあれば、リスクもある」という点です。

歯を削ることには、以下のようなリスクもあります。

歯の神経に近づいてしまうリスク
→ 削る量が多くなると、歯の中の神経(歯髄)に近づいてしまい、知覚過敏や痛みが出ることがあります。最悪の場合は神経を取る(根管治療)必要が出てしまうことも。

歯の強度が落ちる
→ エナメル質や象牙質が薄くなることで、歯自体がもろくなり、被せ物の下で割れたり、ヒビが入るリスクが高まる可能性があります。

将来的な再治療のリスクが高まる
→ 一度削った歯は、セラミックのトラブル(脱離・欠けなど)が起きた際の修復が難しくなることがあります。

歯ぐきや噛み合わせに影響することも
→ 削る位置や角度によっては、歯と歯ぐきの境目に段差ができてしまい、歯垢がたまりやすくなったり、歯磨きしにくくなることも。

歯の寿命が短くなる可能性
→ 一度削った部分は再生しないため、将来的に破折や再治療のリスクが高まることも。

歯の根が弱くなる恐れ
→ 削りすぎることで土台が細くなり、強度が落ちる場合があります。

このようなリスクがあるからこそ、「必要な量だけ削る」「削る前にしっかりと説明を受ける」ことが大切なんです。

ただし、これらのリスクは歯科医師の経験や設計の工夫で軽減可能ですし、「歯を削ること=悪」ではないということも知っておいてほしいポイントです。

実は…審美性と安定性を両立するには必要な処置だった!

歯を多めに削る理由には、見た目の美しさと長期的な安定性を確保するという大きな目的があります。「削る」という行為だけを見るとネガティブに感じるかもしれませんが、実はセラミック治療において、適切に削ることは成功のカギでもあるんです。

歯を削る理由は主に以下の3つ:

セラミックの厚みを確保するため
→ セラミックは透明感や自然な色調を表現するために、ある程度の厚みが必要です。厚みが不十分だと、色が浮いて見えたり、周囲の歯と調和しなかったりします。

被せ物を安定して装着するため
→ 土台となる歯を削って平坦な形に整えることで、セラミックの被せ物がしっかりフィットします。凹凸が残っていると、外れやすくなったり、歯垢が溜まりやすくなったりします。

噛み合わせのバランスを取るため
→ 特に奥歯では、上下の歯が正しく噛み合うことが非常に重要。セラミック治療では、噛み合わせの高さや角度も調整するために、必要な範囲での削合が求められます。

つまり、仕上がりのクオリティを上げるには、適切な量の削合が必須なんです。

歯を守るセラミック治療の種類と工夫

詰め物と被せ物

最近では、なるべく歯を削らずに済むセラミック治療も増えてきています。

例えば以下のような選択肢があります:

ラミネートベニア
→ 前歯の表面を薄く削って、セラミックを貼り付ける治療法。削る量は最小限で、ホワイトニング以上の美しさを得られます。

部分的なセラミック(詰め物・ハーフクラウン)
→ 虫歯や欠けた部分だけを最小限に削って詰め物を入れる方法。周囲の健康な歯質をできるだけ温存できます。

CAD/CAM冠(保険適用のセラミック)
→ 保険適用で受けられるセラミック治療。材質や形に制限はありますが、従来の金属の被せ物に比べて見た目も良く、削る量も比較的抑えられます。

最近の技術進歩によって、「セラミック=たくさん削る」はもう過去の話になりつつあります。ご自身の希望やお口の状況に合った治療を選べる時代になっているのです。

しっかり相談すれば削る量も最小限にできる!

治療の選択肢が増えている今、何よりも大切なのは「納得したうえで治療を受けること」。

セラミック治療では、次のようなステップで安心して進めることができます。

セラミック治療で納得できる結果を得るためには、以下のポイントを大切にしましょう。

「なぜ削るのか?」の理由を明確に説明してもらう
→ 単に「必要だから」ではなく、「どの部分を」「どのくらい」「なぜ」削るのかを丁寧に説明してくれる医院が安心です。

事前に模型や写真を使ってイメージを共有する
→ 治療前のシミュレーションをしてもらうことで、仕上がりのイメージを具体的に確認できます。

削る量だけでなく、他の選択肢も聞いてみる
→ 部分治療、ラミネート、矯正との併用など、削る量を抑えるための代案がある場合もあります。

患者さん自身が「何のために削るのか」を理解していることが、満足度を上げる最大のポイントです。

気になる方は、まずは歯科でカウンセリングを

もし今「セラミック治療したいけど、歯を削るのが心配…」と感じているなら、一人で悩まずに、ぜひ気軽に歯科医院でカウンセリングを受けてみてくださいね。

今は「できるだけ削らない」「神経を守る」といった身体にやさしい治療の選択肢もたくさんありますし、信頼できる歯科医師と一緒にプランを立てることで、より安心して治療が受けられます。

まとめ

  • セラミック治療で歯を削るのは「見た目」と「安定性」のため
  • 削りすぎによるリスクもあるけど、工夫次第で最小限に抑えられる
  • 歯の状態に合った治療法を選ぶことが大切
  • 不安なことは遠慮せず相談してOK!納得して進めることが最優先

「歯を削る」と聞くと、不安になるのは当然のこと。
でも、あなたの歯をもっと健康的に、そして美しく保つために、“必要な最小限”の処置だとしたら…少しだけ前向きに捉えてみても良いかもしれません。

「こんなに削るのはちょっと…」と思ったら、まずはその気持ちをそのまま歯科医師に伝えてみてください。あなたの想いに寄り添ってくれる先生なら、治療の目的や選択肢を丁寧に説明し、できるだけ希望に沿った形で進めてくれるはずです。

未来の自分の笑顔のために

今の小さな疑問や不安を、そのままにせず、気軽に相談してみてくださいね。
きっと、その一歩が、あなたにとって「安心できるセラミック治療」への第一歩になります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 高槻クローバー歯科
院長 髙野 祐

2013年 岡山大学 歯学部卒業。2014年 岡山大学病院臨床研修終了

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高槻クローバー歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック